デザインや印刷、パッケージに関わっていると、いろんな「業界用語」みたいなものが出てきますよね。
例えばデザイン会社に依頼する、印刷会社さんと打ち合わせする、なんていうときに「今の何だろう? でもこのタイミングで聞くに聞けない…」なんてこともあるかもしれません。
もちろんT3デザインとお打ち合わせいただいてる途中でしたら、何でも聞いてくださいね◎
でもやっぱり事前に知っておきたい、理解しておきたいという方のために、デザイン周りでよく出る用語について、まとめておきたいと思います!
どうぞご参考に◎
1. 印刷に関する用語
1-1.エンボス加工
紙やプラスチックなどの素材を、裏から押し上げる加工方法のことを指します。車のナンバープレートみたいな感じ、というとわかりやすいですね。
立体感のある仕上がりが特徴で、見た目や感触でインパクトが伝わります。乗せるインクの色でもかなり表現の幅が広がる手法です。
1-2.シルク印刷
インクを、ナイロンやポリエステルなどの樹脂で作られた穴を開けた版板に擦り付けて、文字や絵を印刷する方法です。
紙や布はもちろん、ガラス、金属やプラスチックなど、さまざまな素材や曲面にもプリントできるところが特徴です。
1-3.UV印刷
紫外線をあてることですぐに乾く「UVインキ」を使用した印刷方法です。
インキ面の強度があるので、ニスを重ねなくても加工することができます。紙以外の素材にもプリントすることが可能で、食品包装紙などによく使われています。
1-4.箔押し
薄い金属箔のフィルムを熱と圧力を加えながら転写する印刷方法。凹みのエンボス加工の上に金属箔を乗せたものになります。
箔は金色や銀色が一般的ですが、他にもいろんな色があります。型を起こす必要があることから高価になりがちですが、ワンポイント箔が押されるだけでグッと高級感が演出できるので、化粧品やギフトなどによく用いられます。
1-5.マットニス加工
印刷後にマットニスを塗布することで、印刷表面の光沢を抑える方法です。落ち着いた雰囲気や高級感をを出したいときによく用いられる方法です。ツヤのある素材に施す場合、一部ニスをあえてのせないことで、ツヤとマットの差を出すデザインも可能です。
1-6.グロスニス加工
マットニスとは逆に、印刷表面に光沢を与える方法です。グロスニスを塗ることで、インキ皮膜を保護し対摩擦性を高めるので、色落ちしにくくなります。保護の目的が強いですが、表面にツヤが入ることで清潔感が演出できます。
1-7.擬似エンボス加工
2種類の性質が異なるニスを使用して、エンボスのような凹凸を作り出す印刷手法を指します。擬似エンボスでは、立体感や高級感などを表現することが可能です。
予算内で高級感を演出!「箔っぽい」パッケージ印刷加工あつめてみた
1-8.PP加工
PP=ポリプロピレン。熱可塑性のポリプロピレンフィルムを貼る、ラミネート加工の一種です。
光沢感を出すことも、つや消し処理を施すこともでき、水や汚れに強く、インクもはがれにくいというメリットがあります。 高級感や耐久性のアップに効果的ですが、使用する紙によっては、時間が経過するごとに印刷物がそりかえってしまうというリスクもありますので、用紙選びは慎重に行う必要があります。
1-9.特色印刷
通常のCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、Key tone)の4色印刷に加えて、追加の特殊色を使用する印刷方法です。
特色印刷を使用することで、より鮮やかな色彩や特定の色調を再現することができます。一般的な特色としては、金色や銀色、パントンカラーなどが挙げられますが、絶対に色の個体差を出したくないロゴの色や、ブランドのキーカラーなどは特色指定をしてあげる場合が多いです。
2.パッケージに関する用語
2-1.栄養成分表示
<サービングサイズ、サービングあたりのカロリー、脂質、コレステロール等、食品や飲料のパッケージに記載されている、その製品が含有する栄養成分の情報です。2020年4月から新表示基準が施行され、表示が義務化されました。
2-2.JANコード
共通商品コード用バーコード・シンボルのJIS規格の総称です。「どの事業者のどの商品か」を示し、商品ごとに付与される、世界共通の商品識別番号を指します。
店頭でお会計の時に読み取られるバーコードですね。JANコードの番号があれば、デザイン会社でも発行が可能です。最近では、読み取れる範囲内でバーコードにデザインを施すアソビを入れたデザインが流行ってますね◎
2-3.裏白・裏ネズ
化粧箱に使用するボール紙で、表も裏も白いものを「裏白」、表側が白く、裏側が鼠色のものを「裏ネズ」と呼びます。裏白には、再生紙含有の紙とヴァージンパルプ紙の2種類があり、裏ネズは最もコストが安いとされています。
2-4.紙目
紙のにも目の流れ、繊維の向きがあります。例えば折り目を入れる場合や、紙箱を制作する場合に、この目の向きが非常に重要になります。
罫線と紙目が直角でないと罫割れが生じた箱の側面が膨れて見栄えが悪くなってしまうんです。なので、折り加工を施すパッケージやリーフレットなどは、紙目に合わせた向きに設定してあげることで強度を保ったりできるんです。
2-5.木型・金型
四角形の紙を、箱の展開図の形に打ち抜く際に使用する型のこと。型は主に木材もしくは金属を使用しており、木材の場合は「木型」、金属の場合は「金型」と呼ばれます。
製品の素材や形、納期や用途に合わせてどちらかを選んで制作します。
2-6.フルート
ダンボールの波型部を構成する段の高さ(厚み)。ダンボールの断面を見た時に、横にたくさん並んでいる空洞のことですね。これには実にさまざまな高さがあるんですよ。
2-7.地獄底
底を組み立てる箱の形状の一種。底が抜けにくく頑丈であることが特徴です。
2-8.ワンタッチ底
折り畳んだ状態から広げると、接着された底面が自動的に組立てられる形状の底を指します。
2-9.ピローケース
枕形(ピロー)に似た箱のこと。上下のふたの折筋が曲線で、組み上がったときにその曲線に合わせて、箱の表面がやわらかく湾曲します。
組み立て作業がとても簡単ですが、あまり積み重ねて輸送したりすることには向いていません。
2-10.N式箱
1枚の段ボールシートを組み立てて箱に出来る形状です。ふたは差し込み式になります。
2-11.キャラメル箱
その名の通り、もともとキャラメルを入れる箱に使われていた形です。とってもスタンダードな形。シンプルかつ王道ですが、耐荷重が少し心配なところ。
2-12.スリーブ箱
スライド式の箱の一種です。チョコレートバーやカステラ、リップやペンシルなど長さのあるものや、個包装ではない商品など、中のスリーブをスーッと出して取り出せると安定感も抜群ですよね。スリーブと箱の2種に分けた形が一般的ですね。
3.デザイン全般に関する用語
3-1.ラフ
完成イメージを伝えるために、手描きスケッチなどで作成されたものです。イメージラフとも呼びます。
手描きかデジタルか、ざっくりしているのか、完成形に近いのか、シチュエーションや製作者によってさまざまです。
3-2.カンプ
仕上がり見本のこと。完成形に限りなく近く、最終的な仕上がりイメージとして、最後の校正や承諾を得る為に使用します。
ちなみに、「カンプリヘンシブ(comprehensive)」 の略です。
3-3.シズル
主に食品の味わいや食感、みずみずしさの「美味しそうな感じ」が伝わるような表現が「シズル」です。そもそもは英語で揚げ物や肉が焼ける音の擬音語「sizzle」から来ています。
食品デザインは、シズルの表現次第で「美味しそう感」が大きく変わってきます。小さなチョコレート1粒の写真でも、こだわって作られてたりするんですよ。
3-4.トンマナ
「トーン&マナー」の略。
デザインの雰囲気や色味、コンセプトなどに一貫性を持たせることを指します。文章に対して使う場合だと、口調を合わせる、というような意味になります。これはブランディングにおいてもとても大事な要素。「トンマナ合わせましょう」というような使い方ですね。
3-5.Q数
文字の大きさを表す単位のこと。当て字で級数ともいいます。
1Qは0.25mm。1mmの1/4であるためQuarterの頭文字を取ってQ数としています。
3-6.4C・1C
「C」とは、カラー(Color)のこと。C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:Key toneの4つを「4C(フルカラー)」、モノクロや特色のことを「1C」と呼びます。
3-6.4C・1C
「C」とは、カラー(Color)のこと。C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:Key toneの4つを「4C(フルカラー)」、モノクロや特色のことを「1C」と呼びます。
3-7.長体
横の比率を縮めて縦長に変形させた文字のことを指します。「長体をかける」と言って、文字数が多くてスペースに入りきらないという場合に主に用いられます。
3-8.平体
長体とは反対に、文字の左右はそのままの幅で、天地だけ縮小したもの。平べったくなります。
3-9.袋文字
外側に枠線をつけた文字のこと。フチ付きの文字は、店頭販促品などでよく使われます。ポップな印象になり、目にも入りやすいです。
3-10.フォント
共通のデザインのひと揃いの文字の集まりのことを「フォント」と呼びます。フォントは全体の印象を決める大切な要素です。フォントは文字部分だけでなく、スペースに対する大きさや位置なども重要になります。単体だけでなく、複数の文字が集合した時の見え方もフォントの大切な要素なのです。
リニューアル!T3デザインサイトのフォント事情 できたよ、T3FONT。(商用利用可)
3-11.カーニング
特定の2文字の間隔を調整することを「カーニング」と呼びます。
文字をただ打ち込むと、活字と余白の間隔にばらつきが生まれるもの。その感覚を調整し、文章を読みやすく、また美しく見えるように調整するのも、デザインの手法の一つです。
3-12.アタリ
デザインの際に一時的に「仮」で使用する画像やイラストのこと。
高解像度の画像だと表示速度が遅くなってしまうので、基本的には低解像度の画像を使います。
3-13.実データ
印刷・出力しても、綺麗に仕上がる高解像度データのこと。実際に使うデータのことですね。
入稿するときは、アタリ画像がら実データに差し替える必要がありますが、うっかり忘れてしまうことも…?
3-14.マージン
デザイン上、情報のない余白部分のこと。画像や文字が配置されている部分の外側になります。
3-15.レタッチ
写真に写りこんでしまったゴミや非対象物を消去したり、全体を明るくしたり、暗くしたり、色味を変えたりすること。商品の写真がよりきれいに見えるためのお化粧です。
3-16.色校
印刷物が、指定した色で刷り上がっているかを確認するために、試し刷りをしてチェックすることです。
パソコンの画面で見ているものと、実際にインクを使って紙に印刷したものは意外と印象が違います。実物を見て、表現したいイメージに近づくよう、色の認識をみんなで揃える確認作業です。
3-17.ローンチ
新しい商品やサービスを世に送り出すことです。一つの商品がローンチされる日をゴールに、関わる人たちはみんな一緒に走っているのです。
4.デザインデータに関する用語
4-1.アートボード
アートボード=絵画の「キャンバス」のようなもの。Adobe Illustratorで作業する時にまず用意します。T3デザインではご提案の際には1つの案を1つのアートボードに配置することが多いので、PDFが3枚ならアートボードは3つになります。とても基本的なものなので紹介しましたが、会話の中での出現度は低めかも?
4-2.トンボ
トンボ=印刷物をカットする為の枠です。以上!……だけだとそっけなさすぎるので、少し補足すると、上記画像では印刷範囲が四角で囲まれていますが、実際のデザインデータでは囲みはありません(囲みをデザインとして配置する場合は別ですが)。枠がないと、どのラインでカットすればいいか分からなくなるので、その為のガイドです。
枠がなくても、トンボの内側と内側を定規で合わせてカットすればきちんとカットができます!
4-3.塗り足し
一般的に印刷物は四六判とか菊判などと呼ばれる大きな1枚の紙に、デザインがたくさん面付けされて、断裁機でズドンとカットされて仕上げられます。デザインに合わせたサイズでぴったりカットするのは至難の技ですよね。なので、「ドブ」とか「塗り足し」とか呼ばれる処理(実際の仕上がりより大きめにデータを作ること)が必要です。
実際の紙サイズは四角の枠サイズですが、少しはみ出して塗っておくことで「印刷ミスで端っこが塗られていない!」というような事故を防ぎます。この「少しはみ出して塗っておくこと」を塗り足しと言います。
4-4.zipファイル
zipと聞いたら朝の番組を思い浮かべてしまうかもしれませんが、zipとは、複数のファイルなどを1つのファイルにまとめる「アーカイブファイル」の形式の1つ。ファイル名の最後に「.zip」という拡張子がついているデータを見たことはありませんか?データを1個1個送るのは、送る側も受け取る側も大変ですし、容量が大きかったらひとたまりもありません。が、フォルダごとzipにすればそのたった1つのzipファイルを送るだけで済むので、もうそれはそれはラクチンです!
4-5.アウトライン
これは1番お問い合わせいただく用語かもしれないです。「アウトライン化する」とは、Adobe Illustratorで入力した文字情報を、図形にしてしまうこと。なぜこの作業が必要かというと、例えばこだわってフォントを選んだアウトライン前のデータを、そのフォントがインストールされていない環境で開いた場合、その文字は別のフォントに置き換わってしまいます。それでは意図したデザインとは違って受け取られてしまいますよね。でもアウトライン(図形)化しておけばOK!ただ、アウトライン済みのデータはもう文字情報は消えてるので例えば違う文章に変えたい、となったときに、データの変更が難しい…...!ですので、アウトライン前とアウトライン後のデータどちらも保管しておく必要があります。
4-6.リンク画像と埋め込み画像
これもかなりお問い合わせが多い用語。IllustratorやIndesignなどでデザインを作成する際に、イメージ写真だったり、あるいはイラストだったりと画像を使用することが多々あります。画像の配置方法にもいくつかあり、Illustratorファイル自体には画像データの情報を保存せず、表示のみすることを「画像をリンクする」と言います。画像の場所を参照して表示しているだけなので、Illustratorファイルの容量が小さくなります。画像を埋め込むと、Illustratorファイル自体に画像のデータが保存されるので、Illustratorファイルが重くなる(容量が大きくなる)ので、作業中の動作が遅くなったりと正直あまり良いことがありませんので、デザイナーは作業効率アップの為、基本的に画像はリンクさせて作業します。
ただ、デザインデータを入稿する際や他のデザイナーにデータを渡す時などはリンクさせている画像も一緒に送る必要があります。リンク画像を送らず、Illustratorファイルのみを送ると「リンク切れ」という画像行方不明状態になってしまいますので要注意(画像埋め込みの場合はOK)!
5.カラーに関する用語
5-1.CMYKとRGB
よく出てくるRGBとCMYKという単語。どちらも色の表現方法ですが、それぞれで全く異なる表現方法です。これはネットで調べると、「RGBとは色の表現法の一種で、赤 (Red)、緑 (Green)、青 (Blue)の3つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混合の一種である.........」と難しい説明がたくさん出てきますが、端的に言うと以下のような感じです。
RGB
- 赤、緑、青(Red,Gree,Blue)の三色で表現
- テレビ、PC、スマホなどのディスプレイはRGBで表現されている。
- RGBの3色を混ぜると「白」になる。
CMYK
- シアン、マゼンタ、イエロー、キーカラー (Cian,Magenta,Yellow,Key tone)の4色で表現
- 印刷物や絵などはCMYKで表現されている。
- CMYKの4色を混ぜると「黒」になる。
全てを混ぜた時の色が白と黒、正反対なのがおもしろいですよね。これが「加法混色/減法混色」というものなのですが、データ作成時は「PCやスマホなどのスクリーン用にはRGB、印刷用にはCMYK」ということを覚えておきましょう!RGBは表現できる色の範囲がとても広く、画面で見るととても鮮やかですが、印刷ではその鮮やかさはCMYKの掛け合わせでは表現できないので鈍くなります。つまり、この設定を間違えると最終的な印刷物の色が悲惨なことに……!!
5-2.特色
特別な色、と書く特色。なんだかとっても贅沢な何かなんじゃ……と不安になるかもしれませんがご安心ください!デザイン界ではよく使われるワードです。PANTONE、DIC、色指定、など場合によって呼び方は様々ですが、簡単に言ってしまうと1色のインキのことです。一般的に、印刷するときはCMYKの4色のインキを掛け合わせて色を表現します。
じゃあ特色なんてなんのために使うの?ってとこなんですが、特色は印刷前にインクを調合して先にその色のインクを作ってしまいます。つまり、場所に合わせてインクを掛け合わせるCMYKと比べると、1色のベタ面などは、特色を使った方が仕上がりが綺麗に安定します。他にも、CMKY4色では掛け合わせでは表現できない蛍光カラーを印刷できたりします(ゴールドやシルバーもそうですね)。
また、容器などの媒体が紙でない場合もよく特色が使われます。例えば化粧品の容器自体に着色したい時に、色を練り込むことがあります。完成形はこの色がいいよね、という共通認識をもつための指標となるのです。
ほんの一例ですが、T3デザインでも特色を使ったデザイン実績があります。どれもキレイな色で表現できているので是非ご覧ください!
6.用語が分からなくてもしっかりサポートします!
よく出るものを集めてみましたが、どうでしょう、参考になりましたでしょうか?
でも、用語なんてひとつも知らなくても、T3デザインがご一緒させていただく時は、なんの問題もありませんよ!
一番大切なのは思いを共有することです。たくさんお話しして、最高のプロダクトを作るお手伝いをさせていただければと思っております◎
もちろん、分からない言葉や分からないこと、ひとつひとつ丁寧にご説明させていただきますので、何でもお気軽にご相談くださいね。