東京都渋谷のパッケージデザイン・グラフィックデザイン 株式会社T3デザイン

地方お土産の魅力を引き立てるパッケージデザインの秘密

2023.12.27
知識 / ノウハウ
地方お土産の魅力を引き立てるパッケージデザインの秘密

2023/12/27公開
2024/7/4更新

こんにちは!今回の記事は、地方のお土産品のパッケージデザインについて。

日本のお土産文化は、地域ごとに異なる美しさを持っています。ですが、それらをより魅力的に見せるのは、実はパッケージデザインの力なのです!インバウンド観光客にとっても、魅力的なパッケージは購買意欲を高め、旅行の思い出をさらに色鮮やかにします。

みなさんもきっと目にしたことがあるあのお土産のパッケージデザイン、改めてじっくり見てみませんか?

1.お土産の進化と魅力

1-1.お土産選びは見た目が重視される!

みなさんもご存知の通り、お土産を選ぶ際にはさまざまな要素が影響しますよね。
「友人へのプレゼントとして」「会社で配るため」「自分用へのごほうび」など、最近では、デザイン品質、価格など、消費者の求めるものがどんどん変化しています。インバウンドで日本を訪れた観光客にも注目されているんですよ!
誰に、どんなお土産をあげるかで、購入者自身の人柄や趣味、キャラクター性が垣間見えたりもしますよね。

だからこそ、パッケージデザインの重要性は、時代と共にますます高まってきています。「このパッケージ可愛いからお土産にしたい」「まさに地方名産!といった感じで良い」など、意外にも中身だけでなく、見た目が重視されるのがお土産ですから、そのパッケージデザインにこだわることはとても大切なのです!

1-2.背後のストーリーをパッケージデザインに

先程も述べた通り、お土産のパッケージデザインは、ただ商品を包むためだけのものではありません。実は、その地域のアイデンティティや、背後にあるストーリーを伝える大切な役割を担っているのです。お土産は、旅の「思い出」として購入するものであるため、よりストーリー性とデザイン性の高いブランディングが重視されるのです。

1-3.パッケージデザインは感情や記憶に深く影響を与える

パッケージデザインは、私たちの感情や記憶に深く影響を与えます。店頭で映える、手に取ってもらえる、といった購買を促すだけでなく、家に置いてもらえたり、誰かに贈られることでネームバリューが上がることも期待できるのです。また、サステナビリティへの取り組みも、今日のデザイン業界では非常に重要です。これらの側面についても、深く考えてみましょう。

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2.【47都道府県別】パッケージデザイン徹底分析!

ここからは、具体的なお土産のパッケージデザインを特徴ごとに見ていきます!一度は見たことのある名物ばかりなので、そのパッケージデザインがどのようなものなのか、改めて注目してみましょう。

2-1.北海道・東北地方(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)

【北海道】飽きのこない、時代を超えて愛されるデザイン

「白い恋人」 はシンプルでエレガント、大人も子どもも大好きなデザインですよね。外装の箱と缶には、発売当初から北海道の秀峰「利尻山」が描かれており「恋人」というワードにふさわしくハートマークが堂々と描かれています。ただ、パッケージ全体のデザインがヨーロッパ土産のような洗練されたデザインなので、大きなハートも自然と調和しているのが素敵ですね。

個包装は雪の結晶が描かれたシンプルで洗練されたデザイン。この深いネイビーが、まさに白い恋人のイメージを象徴しています。シンプルながらも印象的なデザインは、幅広い層に受け入れられ、白い恋人のブランドイメージを確立しています。

【青森県】りんご丸ごと一個を収める大胆さ「気になるリンゴ」

青森県産リンゴで作ったシロップ漬けまるごと1個をパイで包み、焼き上げたのが「気になるリンゴ」 です。

リンゴ丸ごと一個という迫力のボディを包むのは、立方体の箱。およそお土産物のイメージとはかけ離れたインパクトある形状に、デフォルメされたりんごのイラストが目を惹きます。

また、パッケージの包み紙も秀逸です。りんごのイメージをそのまま落とし込んだような鮮やかな赤は、思わず手に取りたくなるパワーがあります。

【岩手県】それぞれまったく違ったイメージで見せる、「かもめの玉子」兄弟。

三陸を代表する銘菓「かもめの玉子」 。定番商品はそのままに、りんご、チョコ、ブルーベリー、チョコバナナ等々、たくさんのフレーバーが存在します。

パッケージデザインは、手書きを思わせるあたたみあるロゴを軸に、それぞれフレーバーのイメージを乗せて大胆にアレンジ。でもみんなが愛してきた「かもめの玉子」であることは一目でわかる、そんな計算し尽くされたものになっています。

【宮城県】仙台の美意識を詰め込んだ銘菓パッケージ

仙台名物の「萩の月」 のパッケージは、黄色い満月と女性が印象的で、日本の伝統的な美意識を巧みに表現しています。

落ち着いた色調と洗練されたデザインは、仙台の萩の花と美しい月夜をイメージさせ、上品で優雅な雰囲気を醸し出しています。また、シンプルでありながらも、細部にわたるこだわりが感じられるデザインは、製品の品質と地域の文化を代表しており、多くの人々に愛されているお土産ですよね!

【秋田県】顧客ニーズもしっかり捉えた「金萬」

秋田駅前の商店街で売られていたおまんじゅうが起源という秋田銘菓「金萬」
秋田県民で知らない人はいない、60年以上ヒットし続けているお土産です。

大判焼きを小さくしたようなサイズで、しっとりとしたカステラ風の生地に、はちみつや卵を使って作られた上質な白餡が入っています。

オレンジとグレーのドットを組み合わせたパターンは、レトロモダンな佇まい。実はこのデザインは数年前に従来のものからリニューアルされたそう。デザインだけでなく、パッケージ自体の形も、ひとつひとつ配りやすいように個包装に切り替えられました。顧客のニーズもしっかりと捉えたデザインです。

【山形県】レトロ好きにはたまらない「おしどりミルクケーキ」

山形を代表するお土産品として長く愛され続けているのが「おしどりミルクケーキ」 です。牛乳を主な成分として作られたやさしい味わいのミルク菓子。フレーバーも豊富で選びがいのあるお土産でもあります。

このパッケージ、レトロ好きにはたまらないものですが、フレーバーごとの色の選び方や、フォント、イラストに至るまで本当に味わい深いデザインです。モチーフの部分が透明な窓になっていて、中身をチラ見せしてくれるところもそそります。
個包装のパッケージにもイラストがちりばめられていてとってもかわいらしいんですよ。思わず全フレーバー揃えてしまいたくなります。

【福島県】少量パックにも小技が効いてる!「ままどおる」

福島といえば「ままどおる」 。バターを使った生地で、ミルク味のあんを包み込んだ焼き菓子です。人差し指と親指でつまめる程度の手軽な大きさと優しい味わいで、万人に愛されています。

ままどおるはスペイン語で「お乳を飲む子」というイメージで付けられているそう。その名のとおり、母子をやさしいタッチで描いた温かみのあるイラストと、バターの風味を想起させるイエローが印象的なパッケージです。注目したいのは5個・8個の少量パックの形状。中身は縦に並べられ、持ち運びしやすくコンパクトに設計。ロゴと同色のラインが全体をびしっと引き締めています。

2-2.関東地方(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県)

【茨城県】特産の良さを強調したパッケージ「おちぼ栗」

洋風笠間菓子グリュイエールの「おちぼ栗」 は、栗の産地として有名な茨城・笠間産の和栗を使った栗形のクッキー。笠間産和栗をパウダー状にし、ショコラと合わせて口の中でほろほろととろけるような新食感のクッキーに焼き上げられています。

クッキー自体が栗の形というのがもうフォトジェニックですが、グリーンとブラウンのコントラストも美しく、パッケージに水彩調で描かれた栗のイラストが印象的です。開けると整然と並べられた栗型のクッキーたちが現れるという面白さもありますね。

【栃木県】銘菓の風格をあらわす「御用邸チーズケーキ」のシンプルさ

茨城の人気避暑地・那須にある那須御用邸にちなんで作られた「御用邸チーズケーキ」 は、素材の良さがそのまま美味しさにつながったシンプルなチーズケーキです。

パッケージは、気品とクオリティの高さを同時に伝える、シンプルで思い切ったデザイン。ばしっと配置されたフォントの美しさがまぶしく、むらのあるグレーの地もマッチしています。インバウンド客を意識した英文での説明書きを外側にシールで配置しているところもかっこよく、角印の赤が効いています。銘菓の自信が表れたパッケージですね。

【群馬県】どれをとっても「ハラダのラスク」と瞬時にわかる強いポリシー

群馬県高崎市発祥のラスクの王様「ガトーフェスタハラダ」 のガトーラスクシリーズ。すでに全国展開しているお菓子ではありますが、上州銘菓として地元民から絶大な愛と信頼を勝ち得ています。

季節限定、地方限定、キャラクターや企業とのコラボなどフレーバーのバリエーションは数えきれないほど。価格帯も広く、より高級志向のものは、パッケージの素材などからもそれとわかるようになっています。しかし、どのフレーバーも、受け取った瞬間に「ハラダのラスクだ!」とわかる強いポリシーでデザインされています。

【埼玉県】小江戸川越名物の蔵造りの建物をモチーフにした「川越プリン」

埼玉指折りの食べ歩きの街と言えば、小江戸・川越。最近は川越名物がいくつも売り出されていますが、この「川越プリン」 、注目株のようです。

地元素材を使ってひとつひとつ丁寧に作られているという川越プリンは、小江戸川越名物の蔵造りの建物をモチーフにデザインされています。
蔵とプリンの形を組み合わせた柔らかな印象のロゴマークも可愛らしく、プリン自体が建物のように見えるのも面白いですよね。

【千葉県】落花生というモチーフをふんだんに盛り込んだ「ぴーなっつ最中」

千葉県の名産である落花生を使ったお菓子「ぴーなっつ最中」 。最初は観光センターオリジナル商品として実演販売していたものを、本格的にお土産ものとして個包装にリデザインしたそうです。

落花生のからを思わせる軽い食感の最中に、ピーナッツをふんだんに使ったあんが香ばしいお菓子です。注目したいのは、やっぱりピーナッツ型の外箱。落花生が地中に生える様子がユーモラスにデザインされています。個包装には、愛らしいピーナッツのキャラクター「ぴーちゃん」の姿が。箱を開けるとぴーちゃんたちが元気に飛び出す、そんな可愛らしいストーリーのあるデザインです。

【東京都】かわいすぎないかわいさ。アイコニックなバナナ

東京名物の「東京ばな奈」 は、都会的でスタイリッシュな印象です。

東京ばな奈のパッケージは明るいカラーリングとモダンなイラストが特徴で、東京の現代的なイメージとマッチしています。東京に住んでいる身からすると、地元に帰省する際に東京土産にいつも悩んでしまうのですが、分かりやすく「東京」という言葉が含まれていてかつ、子どもにも大人にも受け入れられるこのパッケージはとってもありがたいです。商品名やイラストが目立ち、おしゃれで魅力的な印象を与えます。東京ばな奈のパッケージは、商品の都会的な性格をアピールするのに役立っています。

【神奈川県】高確率で家に置いてあるあの缶!「鳩サブレー」

実家に置いてあるかもしれない、あの印象的な黄色い缶。鎌倉名物の「鳩サブレー」 は、シンプルながらもエレガントです。黄色の背景に赤のクラシックなフォントが使用され、製品の洗練されたイメージを強調しています。

このパッケージは、鳩サブレーの長い歴史と鎌倉の文化を象徴し、消費者に安心感と懐かしさを与えるデザインとして評価されています!

2-3.中部地方(新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県)

【新潟県】伝統と地域性を強調するデザインの「柿の種」

新潟と言えば米どころ。米菓の中でも古来から輝きを放っているのがこの「柿の種」 です。

いまや世界ブランドとなった柿の種ですが、その元祖は新潟県長岡市に本社のある浪花屋製菓です。みんなが想像する「ふるさと」「田舎」を具現化したようなイラストがあしらわれたこの缶。この蓋を、コインを使ってがばっと開くと、あの濃いオレンジ色の三日月がこれでもかと入っているんです。

子どもの頃、おばあちゃんの家にいつもあって、手をつっこんで食べるのが楽しみでした。振って中身がどれくらい残っているか、音で確認したのも懐かしい思い出…。昔ながらの「おやつのわくわく」と同時に、米菓を湿気からしっかりと守る密閉性の高いパッケージ。最高の組み合わせではないでしょうか。

【富山県】受け継がれる伝統の器を使った「ます寿司」

おいしいものが多い富山県。とくに海の幸に恵まれていますよね。そんな中からピックアップしたいのは「ます寿司」 です。

ます寿司は、県内のたくさんのお店が販売しており、お店によって味わいが違うのも魅力です。多くのお店で使っているパッケージは、昔ながらの竹の曲げ物の器。開けるとさわやかな香りの若笹に包まれた、美しい薄紅色のますの切り身がばーんと表れ、食欲を誘います。

昔から受け継がれている伝統の器そのままというのも、お土産にふさわしいデザインですが、若笹の緑をめくると一面の薄紅というコントラストも、非常にフォトジェニックですね。お店ごとに掛け紙で個性を発揮しているのも、ぐっとくるポイントです。

【福井県】繊細な絹のイメージを表現

福井銘菓といえば「羽二重餅」 。羽二重とは「撚りのない経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を使った平織りの絹織物のこと」だそうです。柔らかな肌触りと上品な光沢が特徴で、羽二重餅はそれを見事にお餅を使って表現することに成功した逸品です。

パッケージには、天女のはごろもを思わせる、羽二重の質感を流麗な線と美しい書き文字で表しています。開け口の曲線と箱を開いた時に目に入る包み紙の白と桃色も上品です。

【石川県】中身を端的に表すユーモアと意外性

石川県、とくに金沢はおいしいものが多い街です。食事も海の幸も和洋菓子も、お土産として挙げたいものばかり。なかでも情緒と楽しさ、驚きを持ってデザインされているのがこの「宝の麩」 ではないでしょうか。

軽い最中の中に入っているのは、ドライされたおすましの素。お湯を注ぐだけで彩り豊かなお吸いものに早変わりする様は鮮やかです。

食物としてのデザインも優れていますが、とくに良いのがパッケージの「ふ」の潔さ。中身を端的に表し、ユーモアもありますね。ぱきっとした配色もおしゃれです。

【山梨県】もはや日本文化となったパッケージ

一度は見たことがあるのではないでしょうか?山梨名物の「桔梗信玄餅」 は、コロンと小さな包装がかわいくて、貰って嬉しいパッケージです。

信玄餅は、餅の新鮮さを長く保つことや中身の形状ゆえに、立体型のパッケージが不可欠となっています。それをあえて伝統的な包みの形で表現したパッケージがとても素敵ですよね。
桔梗の花柄があしらわれた歴史的な衣装を思わせる包みは、それだけで伝統と気品を感じさせられます。素材選びには高級感を保ちつつ、和菓子特有の温かみを感じさせるものが選ばれていますよね。実用性と美観が融合したパッケージになっており、もらって嬉しいパッケージです。ついつい紐をつまんで渡したくなるなあと思います(笑)

【長野県】見せたいシンボルをど真ん中にどん!

「雷鳥の里」 は、1972年販売開始のロングセラー商品です。北アルプスの高山に生息する雷鳥は長野県のシンボルとも言える特別天然記念物。シンボルをどん!とど真ん中にあしらった潔いデザインは、この絵そのもののインパクトと良さを正面から伝えています。

中にダイカットのイラストカードが入っているのも良さのひとつ。この雷鳥イラストを使ったグッズも販売されているんですよ。

【岐阜県】中身の美しさを引き立てる、アクセサリーボックスのようなパッケージ

宝暦5年に創業したという老舗中の老舗和菓子屋「つちや」さんの、店頭でしか買えない「みずのいろ」 。干錦玉という伝統的な和菓子を、水のひとしずくに見立てて極限までの薄さに仕上げた繊細なお菓子です。それぞれの色と味わいは、地元・美濃の素材にこだわって作られています。

中身自体が本当に美しいお菓子ですが、アクセサリーボックスのようなパッケージが、さらに繊細な輝きを引き立てています。ひとつひとつの色が綺麗に映る真っ白を選んでいるところも素敵ですね。

【静岡県】「う」の強烈なインパクト!

浜松名産の「うなぎパイ」 は、赤と白の鮮やかな色使いで、大きな「う」の文字が目を引くデザインです。

浜松といえば、うなぎ!ということで、発売当初は浜名湖をイメージした青いパッケージを採用していたそうですが、現在の印象的なカラーリングに替えたことでより愛されるデザインになったそうです。化粧箱はまるで、うな重の弁当箱のような形状。そのシンプルでありながら特徴的で大胆な形が印象に残ります。

【愛知県】柳宗理デザインのパッケージを継承

名古屋と言えばういろう。米粉を主原料としたもちもちのお菓子です。青柳総本家の「ういろう」 は、定番の味わいから、季節などで変わるフレーバーも豊富。

青柳総本家は美術顧問として柳宗理を迎え、商品のパッケージから、店舗の什器、内装全てのデザイン監修を依頼していました。現在も、青柳ういろうの外箱はリニューアルを繰り返しながら、当時のデザインを大切に継承しています。

柳の葉をイメージした印象的なデザインで、柳宗理の魅力が詰まっているとも言われています。数種のフレーバーを一箱に詰め込むと、また一層良さが引き立ちます。

2-4.近畿地方(京都府、大阪府、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県)

【三重県】まるで御朱印!伝統的で幸福感あふれるパッケージ

伊勢神宮への参拝記念に誰もが手に取るであろう「赤福」 のパッケージ。

淡いピンク色の背景に赤い文字でブランド名が記されています。このデザインは伝統的な和菓子の地域的なルーツを強調し、自然素材の箱に入れられた赤福餅は、伝統への敬意と品質への配慮を表しています。

【滋賀県】楽しい「パッケージミュージアム」は一見の価値あり!

今や全国的に人気を誇るクラブハリエのバームクーヘン の。一本一本職人が手で焼き上げており、焼きたてのふわふわさは格別です。

直径7.8cnのミニサイズから、直径19cm高さ14.3cmという大きなものまで、サイズはさまざま。その全てがオリジナルの箱に収められています。

寄木細工を想起させる高級感あふれる市松模様の箱。スタンダードは紙箱ですが、なんと贈答用に本当の寄木細工の箱もあるんだとか。その他、クリスマスやお正月など、季節やイベントごとに限定デザインを作っていて、HP上には歴代のデザインを網羅したパッケージミュージアム もあるんです。

【京都府】京都を代表するアイコニックなロゴデザイン

京都には様々な八つ橋のブランドがありますが、特に老舗で有名な本家西尾八ッ橋の「八ッ橋」 は、京都の象徴的なお菓子として、和紙を使ったパッケージや伝統的な模様が特徴的です。

優しい和紙の風合いに軽やかに描かれた京都の街。橋の形をモチーフにしたお菓子だからこそ、分かりやすく橋が中心に描かれていますね。日本の文化や伝統を象徴し、京都を訪れる観光客にとっても魅力的なお土産となっており、ブランドイメージを強めています!300年以上続く老舗らしく、アイコニックで象徴的なロゴが風格と信頼を感じさせますね。

【大阪府】ブランドの強さを示す「赤」

おいしいものが豊富な大阪ですが、最初に思いつくのはやっぱり「551HORAIの豚まん」 ではないでしょうか。

中華全開、食欲をそそる赤のパッケージは、中身の「間違いなさ」を率直に伝えています。紙袋は一転して白。そこに大きく赤字で「551 HORAI」と印刷されていて、遠くからでも「お土産、豚まんだ!」とわかるのがうれしいですよね。

ブランド力をはっきりと示すシンプルな強さ。みんなが目指したい究極ではないでしょうか。

【兵庫県】繊細なお菓子を包む、ジャストサイズの丸缶

関西おしゃれの中心地、おいしいものも集まる神戸があるのが兵庫県。素敵なお土産が溢れる街ですが、やっぱり昔ながらの名品神戸風月堂の「ゴーフル」 は外せません。

薄く軽く繊細なお菓子が壊れないように、ジャストサイズの丸缶に重ねて収められています。レトロなデザインの缶は、疎開先で戦禍をまぬがれたものが、復活の際の原点になっているそう。合理的かつ伝統を守るデザインなんですね。

【奈良県】「生薬たっぷり」感を押し出した、コーラらしからぬデザイン

奈良土産としてピックアップしたいのは、「大和コーラ」 です。人口1300人の奈良県曽爾村で作られる天然素材のクラフトコーラは、歴史、古事記をテーマに奈良の大和橘、大和トウキ、キハダの実を使用し、コーラの持つジャンクなイメージとはちょっと違うところが面白い商品です。

ミニサイズのウイスキーボトルのようなコンパクトな形状に、コーラらしからぬラベルデザイン。素材のイラストがあしらわれ、薬膳ぽさもあります。

曽爾村は奈良県の東北端に位置し、日本書紀に日本最初の「薬猟(くすりがり)」の記録が残る土地だそう。土地の特性を生かして作られる「体に良いコーラ」、ちゃんとボトルデザインで体現されているところもいいですね。

【和歌山県】特別で愛しい「デラックス」なお土産

大正13年創業の鈴屋の商品の中で、長年愛され続けてきたのがこの「デラックスケーキ」 。特殊配合+特殊製法のカステラにジャムをサンドして、ホワイトチョコで全体を包んでいるというゴージャスさ。昔ながらのどっしりと食べ応えのあるお菓子です。

四角いケーキをぴったりと包む銀色の紙には、鈴屋さんの鈴のロゴ。「デラベール」とも「デラックスケーキ」とも書いてありますが、「デラックスケーキ」として売り出した後、より特別感を出したくて、鈴屋の「鈴」とかけて「デラベール(ベル)」という名前も後からつけました。地元では結局どちらの名前でも呼ばれているそうです。

素材、色、ロゴデザイン全てがレトロでおしゃれ。サイズや形状と相まって、もらってうれしい特別感のあるたたずまいになっています。これはSNS映えしますね!

2-5.中国地方(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)

【鳥取県】地元民に愛される「ソウルデザイン」

「白バラ牛乳」 は、鳥取県民のソウルドリンク。学校給食をはじめ、地元で牛乳と言えば、この白バラのロゴとデザインなんです。

赤・緑・青のコントラストが映える、「ザ・牛乳」なパッケージ。生活に密着したデザインって、他県の人間からするとたまらなく魅力的に見えますよね。商品バリエーションもすさまじいのですが、このモチーフをそのまま文房具や雑貨にして販売もしています。それがまたどれもかわいいんです!

白バラブランドのエレガントで親しみやすいロゴデザインも秀逸です。

【島根県】シンボルとなるブルーが印象的なパッケージ

島根土産のニュースタンダード「沖野上 blue cacao's」のチョコレート 。出雲大社からほど近い古民家を改装してクラフトチョコレート専門店兼工房として営業しています。

各国のカカオ豆を厳選輸入、焙煎、粉砕、磨潰し、カカオ豆からチョコレートになる工程を全て手作業で行っています。クラフトチョコレート全9種で、中でもシンボルとも言える「ブルーチョコレート」が人気。無着色・無添加ですが、藍にも近いようなブルーなんです。

シンプルスタイリッシュなパッケージにも、シンボルカラーとなるブルーを印象的に使っています。

【岡山県】地元デザイナーが手がける遊び心満載のパッケージ

岡山名物の「きびだんご」 は暖かみのある色が使われており、親しみやすい印象を与えます。箱を開けると桃太郎が現れ、きびだんごの個包装にはキャラクターのイラストが描かれています。パッケージの全体的なデザインはシンプルでありながら、明るく楽しい印象でもらった人が思わず笑顔になるデザインです。キャラクターと色使いによって、商品の楽しさや魅力を伝えているようです。

(T3に岡山出身の人が以前買ってきてくれてみんなでわいわい楽しみました♪)

【広島県】秋色のパッケージが大人かわいい

広島名物の「もみじ饅頭」 は、もみじの葉を模したデザインが特徴です。

広島・宮島にある紅葉谷の自然美を象徴するこのパッケージは、宮島に限らず、広島土産ときけば真っ先に思い付くほどメジャーな銘菓ですよね。淡い自然色を基調としたパッケージは一見とてもシンプルで落ち着いた印象。商品名やイラストが気品よく取り入れられています。地域の伝統と、日本文化の象徴として、広い世代で愛されるだけでなく、外国人観光客にも大人気の商品です。

【山口県】視認性が高く上品なデザイン

「月でひろった卵」 は昭和61年に発売され、山口県の人々に愛されてきた洋風菓子。
山口のおみやげとして、誰もが一度は贈り、または受け取ったことがあると言って良いほどメジャーなお菓子です。

カステラ生地を蒸すときに使用する水には、自社工場の地下から採取したおいしいお水、「琴名水」をしているというところも「ご当地銘菓」ならでは。

月の黄色とうさぎのまるまるしたシルエットを掛け合わせ、ぱっと目に入りやすい、しかし上品なデザインです。個包装のデザインは全部で10種類用意されており、見比べる楽しさもあります。さらに1500個に1個、うさぎの焼印がなされているという仕掛けも。細かな仕掛けがうれしいお土産です。

2-6.四国地方(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)

【徳島県】わかりやすくはっきりとした現代的なグラフィック

海の幸も里の幸も豊富な徳島県。注目したいのはこの「寒さば きとうゆずしおオリーブオイル漬け」 に始まる「ゆずサバ缶シリーズ」です。

旬のサバに、農業のノーベル賞である「朝日農業賞」を受賞した木頭ゆずをコラボレーションした逸品です。デフォルメされたサバが踊る現代的なグラフィック。サバを中心に、ゆず、トマトやオリーブなど、缶詰ごとに使用されている食材がさりげなく示され、味の想像ができる=美味しそう!につながるアプローチになっています。

【香川県】ぶら下げて歩いてそのまま渡せる!究極の「気遣い」デザイン

香川県に行ったら絶対食べたい「さぬきうどん」 。数えきれないくらいさぬきうどんを出しているお店はありますが、特に注目したいのは、このさぬき麺業のパッケージです。

余計なものは何もない、ストレートなロゴ。麺類のパッケージって、手書き風の文字だと断然おいしそうに思えるのはどうしてでしょう?

この細長いパッケージに入っているのは半生タイプのうどんとつゆだけ。それをパッとそのままぶら下げて帰れる、お土産として渡せるというのは、かなり気の利いたデザインではないでしょうか。

【愛媛県】伝統的・地域性を強調するデザイン

慶応三年創業の老舗「山田屋」の「山田屋まんじゅう」 は地元を代表する銘菓です。

上質な小豆と白双糖でつくられた、ひとつがわずか22gという小さな小さな一口まんじゅう。山田屋の梅鉢紋が真ん中に配置されたシンプルな白い箱収められています。このひと目見てわかる「いいお菓子」感。上質は飾り立てずとも際立つ、それを体現しているパッケージですね。

【高知県】健全な明るさと子ども向けを上手にアピール

高知県を代表するゆずの里・馬路村。馬路村ブランドは全国にその名を轟かせ、いくつものひっと商品を生み出しています。その一つ、特にお土産に人気なのがゆずドリンク「ごっくん馬路村」 です。

子どもに飲ませたいジュースとして作られ、もう35年にも及ぶベストセラー商品となっています。はつらつとした可愛らしいイラストに「ごっくん」の文字が印象的です。6本セットから箱にセットされての販売になりますが、こちらにも元気なイラストが大きく印刷されています。ゆずを連想させる元気なイエローが各所にあしらわれているのも◎。

無着色・無香料・無添加の健全さと子どもへ向けたアピールが上手にできているパッケージであると言えます。

2-7.九州地方(福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)

【福岡県】個性的で絶対に忘れないデザイン

続いても博多名物!「めんべい」 です。

明るいオレンジと白の配色が目を引くシンプルで現代的なデザインですよね。大きな白い文字で「め」と記されており、ブランドの識別性を強調しています。また、赤い印章風のロゴがアクセントとして配されており、日本の伝統的な要素を取り入れつつ、洗練された印象を与えています。

【佐賀県】伝統工芸のパターンを取り入れ華やかに

佐賀県を代表するお菓子と言えばこの「さが錦」 。浮島と呼ばれる生地に栗や小豆を加え、チョコレートで層を成すバウムクーヘンで挟んでいます。和洋折衷のこの味がまずおしゃれなんです…!

パッケージに散りばめられているのは、伝統織物「佐賀錦」をイメージした模様。個包装の明るい色合いも魅力的ですが、竿を包む箱の雅やかなデザインも明るく豪華。伝統工芸の良さも伝わるパッケージです。

【長崎県】異国情緒あふれる地域性が生かされたデザイン

長崎と言えばカステラ。カステラのおいしいお店はたくさんありますが、中でも松翁軒は、1681年に長崎で創業された老舗であり、江戸時代からずっとカステラを作り続けてきた名店です。

松翁軒の「かわいいカステラ」 には、「松翁軒カステラ」「チョコラーテ」「抹茶カステラ」の3種類が入っているという贅沢な一箱。昔の肖像画のような人物の絵が描かれたパッケージは、江戸時代から多くの外国船が来航した長崎の異国情緒を表すようなハイカラなたたずまいです。0.3号という小さなサイズの3本セットはコンパクトな外見。このちょうど良いサイズもまた手渡しやすく可愛らしいんです。

【熊本県】特許まで取った独自の包装技術

一度見たら忘れられない金色のマーク。「誉の陣太鼓」 は、お菓子自体ももちろんそのロゴを見たことがない熊本県民はいないのではないか、というほどのザ・ご当地なお土産です。

秘伝の蜜で炊き上げた風味豊かな北海道産大納言あずきが、やわらかな求肥を包んだという、逆転したおまんじゅうのような中身。みずみずしく甘さ控えめなのが魅力です。紙製の小刀が付属しているという、食べやすさへの配慮もうれしいですね。

この荘厳とも言える金色の太鼓の形のパッケージは、紙缶詰製法という独自の方法で包まれており、特許まで取得しているというこだわりようなんです。勇ましい筆文字に縦長のパッケージも豪勢。自信を持って贈れる銘菓です。

【大分県】高級感極まる全面フロッキー加工

天文20年(1551年)に豊後の国を訪れ、神の教えを広めて府内の街(現在の大分市)に南蛮文化の花を咲かせたフランシスコ・ザビエルの功績を讃えたお菓子「ざびえる」 。まさに大分の顔とも言えるお菓子です。

バター風味の皮に純和風の白餡とラム酒に漬けたレーズンを刻みこんだ金餡を包んだ和洋折衷な味は、なんと地元で50年以上も愛され続けているそうです。

この箱、画像だとわかりにくいのですが、なんと全面フロッキー加工されているんです!そこへぎゅっと上から載せられた金のロゴと赤の文字。高級感が止まりません。ずっと触っていたい手触りのこの箱、多くの地元っ子たちが空き箱をもらって宝箱にしていたとか、していないとか。

【宮崎県】シンプル・みっしり・情報量

「お菓子の日高」で誕生から35年以上売れ続けているロングセラー商品「なんじゃこら大福」 。まっしろな大福を割ると、甘さ控えめのつぶあんと一緒に苺と栗とクリームチーズが顔を出す、インパクト大なお土産です。

パッケージは至ってシンプル。でも、箱を開けた瞬間、この大きくて真っ白な大福がみっしりと詰まっている様が目に飛び込んでくる、これだけでもう嬉しいですよね。商品の持つ魅力と特性をよく理解した「つまり具合」ではないかと思うのです。

真っ赤な掛け紙には、これでもかとなんじゃこら大福の魅力が書き込まれています。この情報の圧にもまた、商品への愛とリスペクトが詰まっていますね。

【鹿児島県】青と白のコントラストで魅せる、凛とした佇まい

安政元年、時の藩主島津斉彬公のお声掛かりで生まれたという銘菓中の銘菓「かるかん(軽羹)」 。鹿児島と言えば、この真っ白なお菓子ですね。

自然薯と米の粉と砂糖だけで作られた素朴な味わいはまさに「質実剛健」。何も飾らない白く凛とした姿は、清廉潔白な「薩摩の心」をイメージしているそうですよ。

これを収めているのは、薩摩青い海を思わせるカラーリングのパッケージ。掛け紙には雄大な桜島が描かれています。箱と中身、両方が合わさってこそ青と白のコントラストが映える、美しいパッケージです。

【沖縄県】陽気な気候が爽やかに伝わるパッケージ

沖縄土産の定番、「ちんすこう」 も外せませんね。

特徴的なロゴは、宮古島の砂山ビーチの写真に塩を連想させるフォントで、鮮やかな色使いが特徴です。黒字に鮮やかな黄色いフチという挑戦的なロゴでありながら、沖縄の気候や太陽が思い浮かびます。沖縄名物に「雪塩」という言葉がつかわれていることに今更ながら驚きを隠せませんが、沖縄の気候とちんすこうの塩味がしっかり伝わってくるパッケージです。

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3.地方のパッケージデザインもご相談ください!

いかがだったでしょうか?

パッケージは消費者が商品に接する最初の接点です。そして、さらに土産物ならではのアプローチ方法もさまざまありますね。今回は、日本を代表する土産物のパッケージを見てきました!地域で愛されるデザイン、印象的で誰かに贈りたくなるデザインとはどんなものか、参考になれば嬉しいです。

T3デザインは東京の渋谷にあるデザイン会社ですが、地方のお客様との取引もございます。お土産は地方のことをよく理解した地元のデザイン会社に依頼することも多いと思いますが、外から見ると新たな発見も多いです!最近ではインバウンド需要も増え、外国人観光客に向けたデザインの工夫も求められています。地方活性化においてパッケージデザインの制作やリブランディングなどお考えでしたらお気軽にお問い合わせください。