こんにちは!T3デザインの化粧品パッケージデザイン部門、Creative beautyのゆいまーるです。もうすぐ入社2年目を迎える私の1年目最後の担当記事ということで、とても燃えております!今回のブログは、私が所属している化粧品パッケージデザイン部門Creative beautyのメンバー全員を巻き込んで作ったので、内容も濃~くなってるかと思います(笑) 是非ご一読ください!
1. サステナブルとは「持続可能な」
今回のテーマは2022年夏コフレ!まだまだ先なので、難しいテーマではありますが、末来の化粧品デザイントレンドを模索するべく話し合いを重ね、私たちがたどり着いた結論は、〈サステナブル〉なパッケージデザインです! このブログでは、環境に優しい紙や容器、梱包素材、形状のデザインで叶える資材削減など、デザイン会社ならではのサステナブルなアイデアを紹介できればと思います!
「サステナブルという言葉、よく耳にするけどいったどういうこと?」と思っている方もいるのではないでしょうか。私も数年前までは、なんとなく「環境に良いことかな」くらいの認識でした。サステナブル(Sustainable)は英語で、「持続可能な」という意味を持っています。「サステナブルな社会」とは、地球環境を大切にすることで誰もが平和で豊かに生活し続けられる社会のことで、今、世界中がこの社会の実現を目指して動いています。
つまりは、私たちの地球がずっと平和で綺麗でいられるような取り組み、状態のこと。そして、サステナブルな社会の実現に向けて国際連合が定めた共通の目標がSDGs です。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、未来の地球を平和に豊かに持続させていくために世界規模で取り組んでいる目標のことです。日本を含め、国連に加盟している193か国が2016年から2030年の15年間で達成することを目標に、様々な取り組みを行っています!
1-1. 日本でも注目されてるサステナブルなこと
日本社会でもサステナブルに対する注目は高まっています。日本では、CSR(企業の社会的責任)が重視されていて、多くの企業が環境保護や消費者の健康に対する配慮を義務として行っています。
「サステナブル宣言」を発信している企業も多く、健康を害さない化粧品の生産や環境に優しい資材を使ったパッケージを使用するなど、サステナブルな企業活動のため様々な工夫が行われています。最近、飲料水のラベルが細くなったな、と思いませんでしたか?昨年は大手飲料水メーカーが続々とノンラベルのパッケージを開発するなど話題になり、身近な部分でもサステナブルな社会に向けた変化を感じました。
企業だけでなく、一般個人の消費活動にも「サステナブル」な波は拡がっていました!
博報堂様にお借りした2019年11月の「生活者のサステナブル購買行動調査」というデータを見ると、資源を無駄遣いせず、長く使えるものを買う、といったサステナブルな消費が重要視されていることが分かりました。確かに私も、数年前から使わなくなった物を姪っ子にあげたりフリマアプリを活用したりと、捨てる以外の選択肢をまず検討するようになりました。昨年のビニール袋の有料化などもあり、消費者としてもサステナブルな購買をすることが常識となってきているのを改めて実感しました!そして企業の環境配慮の行動が、企業イメージに直結する時代に突入したと感じました!
1-2. 進んでる……!世界のサステナブルな社会がすごい
ちなみに、世界のサステナブル先進国はどこなのでしょう?調べてみたら、最もサステナブルな社会を実現しているのは北欧のようです。2019年の世界各国のSDGsの達成度ランキング1位はデンマーク。2020年の1位はスウェーデンです。2020年3位のフィンランドも含め、「環境保護は当たり前」という考えが浸透している北欧社会では、物を捨てない消費活動を推進する様々な取り組みが行われていました。
驚いたのは、北欧では自動車のCO2排出を抑えるため、自転車文化が発展したという事実!デンマークのコペンハーゲンは、世界で最もバイク・フレンドリーな街として知られていて、電車に自転車を持って入れる車両が一般的に存在するそうです。すごい!
そんなサステナブル先進国では、サステナブルな商品開発も進んでいました。
スウェーデン発の食品用紙容器の開発・製造を主に行っている企業のテトラパックは環境資材を用いたパッケージングで、サステナブルな食品消費を推進しています!
北欧以外の国々も、サステナブルな経済活動が盛んに行われています。たとえば、アメリカの時計メーカーのフォッシル社は2020年に、地球にやさしくサステナブルな腕時計を販売しました。この腕時計は、海や埋立地に捨てられたペットボトルを再利用したリサイクルマテリアルから生まれたプルスルーストラップを採用しています。カラフルでかわいい!
2. サステナブルへのさまざまなアプローチ方法
2-1. 環境に配慮した紙を選ぶ
様々なパッケージデザインを手がけるT3デザインにとって、パッケージに使用する紙は身近な存在。再生紙や非木材紙、FSC認証紙といった環境に配慮した紙を選ぶこともサステナブルなものづくりにつながります。
FSC認証紙とは?
FSCの認証木材は、FSCの責任ある森林管理の規格を満たした認証林から生産されます。この認証を受けた紙を使用することで、適切な森林管理を行っている林業者を支援し、地球環境を考えた製品を選ぶという意思表示につながります
竹尾の「グムンドバイオサイクル-FS」自然素材や古紙を活かした味わいのある紙
こちらは紙専門商社竹尾 から昨年発売されたグムンド社製のファインペーパー 。色合いは一年草である牧草を配合した「クロロフィル」、麻を配合した「カナビス」、古紙を原料とした「サイクル」の3種類があり、FSC森林認証紙として、環境配慮の観点から見てもかなりの優れモノ。
温もりのあるテクスチャで、見た目からもエコを感じる風合いです!ナチュラル、オーガニックなコスメパッケージのコンセプトととても相性が良さそう!
リンテックの「プラレスペーパーCoC」耐水強度に優れ、ぬれても破れにくい印刷用紙
こちらはリンテック から昨年発売の新しい印刷用紙です。手提げ袋や地図、商品のタグや冷蔵・冷凍食品の包装などさまざまな用途に幅広く対応した水に強い紙!!プラレスペーパーという名前の通り、昨今の脱プラスチック需要の高まりに対応する紙となります。紙でありながら、濡れても破れにくいことが特徴で、FSC認証林およびその他の適切に管理された森林から得た木材パルプによってつくられているFSCミックス認証製品(※)となっています。また、同シリーズのラベル もあって、お風呂の中で使うボディケア商品のラベルやATシールなど、様々なシーンで活躍してくれそうです!
※FSCミックス認証製品とは、FSCミックス:FSCが認めている適格な原材料(FSC100%、FSCミックス、FSCリサイクル、FSC管理木材、回収原材料)が複数使用されている製品のことです。( 引用元:FSC ジャパン公式HP )
2-2. 技術で叶えるサステナビリティ
容器選びも非常に重要な要素です。サステナブルな容器を使用することで、消費者のサステナブル消費を実現するほか、工場での廃棄物削減もできます。実際に、環境に配慮した容器を採用しているサステナブルな商品実例を紹介します。
グラセルの新たな環境配慮型ボトル「green nano(グリーンナノ)」
グリーンナノ CO2 OFF は、燃焼時にCO2を削減する技術で、日本のベンチャー企業が開発した添加剤です。ダイレクトPETやインジェクションPPの従来のボトル原料に3%添加することで、焼却時のCO2を約60%削減できるというモノなので、いつもの素材に加えるだけでプラスチック製品のCO2排出量を大幅に削減できます!。製造技術としてサステナブルな上に、落下、加工性、外観も従来の製品と比べても遜色なく使用できるそうなので、トライしやすそう。普段の製造過程に一工夫加えることで、サステナブルな製品開発ができる素晴らしい技術です。
2-3. 廃棄物をリサイクルする
夏らしい透け感がかわいい廃棄される素材からできた!Atelier M/Aのリサイクルバッグ
エコとサステナブルを意識したアパレルブランドAtelier M/A のリサイクルバッグは、“本来は廃棄されるはずの糸くずやハギレをバッグの素材する”という発想の転換から生まれたエコバッグです。
このバッグ、カラフルで透け感のある爽やかな夏らしいですよね!透明な部分はオレフィン樹脂というもので、そこに端材をコラージュのように圧着させ、アートのように1点ずつ手作業で作られているとのことです。こんなにスタイリッシュなデザインのサステナブルがあるなんて、ちょっと衝撃でした...夏のコスメセットを入れるポーチや、トライアルセット用の素材にぴったりじゃないですか?
例えばこの発想の転換を化粧品に置き換えると、(これはあくまで妄想ですが……) 廃棄されてしまう化粧品のラメを再利用して容器の練りこみパールにしてしまうとか、試作の際にできた中身のバルクを樹脂でコーテイングして有機的な凹凸のついた容器を作るとか…。コストや成分的に考えると難しいことなのかもしれませんが、このリサイクルバッグは、そんなサステナブルな可能性を模索させられる素晴らしいアイデアだと感じました!
【こちらの記事もおすすめ】【社内対談】”ものを捨てる”から考えた”エコなデザイン”とは?
3.参考にしたいサステナブルなブランドや商品3選
資生堂「BAUM」の樹木の恵みを感じる美しい素材感
資生堂のBAUM はサステナブルな化粧品ブランドとして有名ですね。こちらの、ボトル容器を囲う木材のパッケージは、なんと、家具製造の過程で出る端材のアップサイクルで作られているそうです。
実は木材ってとても敏感で変形しやすく、季節の変化などに敏感な素材なのでとても扱いが難しいのですが、BAUMは家具メーカーのカリモク家具 とのコラボレーションによって精度の高いパッケージを可能にしています。一部容器に使われているプラスチックはバイオPET(植物由来)を、ガラス容器にはリサイクルガラスを、と全てのパッケージがサステナブルな作りになっていました!もちろん、外箱にもFSC森林認証紙が使われています!
■ライトウェーブ「ママプレマ」お肌にも地球にもやさしいブランド
こちらは、株式会社ライトウェーブ から発売されている界面活性剤ゼロの入浴型ボディ洗浄料「ママプレマ 」です。主成分は食品添加物の重曹と炭酸塩で、環境にもお肌にも安心安全!ママプレマで入浴するのと同じ濃度の水溶液には、なんとメダカを泳がせることもできるそうです(すごい!) ボトルの樹脂には100%再生プラスチックを使用しており、清潔感のあるシンプルな印象に。肌だけでなく、地球にもやさしいブランドです。
■ 「imperfect」表参道 環境配慮だけじゃなくフェアトレードにも貢献するブランド
目に見えるものだけじゃない、サステナブルな取り組みを行っている「imperfect 表参道 」は、東京・表参道ヒルズにあるフード マーケット&カフェ。
imperfect表参道 公式サイト|Concept“私たちは、世界の食と農を取り巻く様々な社会課題を世界の不完全(imperfect)の一つと捉え、たとえ不完全(imperfect)な取り組みだとしても、自分たちで出来ることから少しでも世界と社会をよくしていこうという想いで、それらの社会課題に取り組みます。”
環境的な部分だけではなく、売り上げの一部をフェアトレードなどのために使う「Do well by doing good.」というプロジェクトを行っています。imperfectで扱う食品は「ウェルフード&ドリンク」と呼ばれ、「私たち生活者のみならず、世界や社会にとってもWell(よい)」という意味が込められています。なんだかサステナブルな取り組みって、調べているだけで気分が良くなってきました。環境にも未来にも心にも、良いことづくしですね!
パッケージをよく見てみると、商品名以外の文章がなぜか逆さになっていたり途中で切れています。不思議に思い包装紙を広げてみるとさらに色々な文章が出てくるではありませんか!
“あなたの「おいしい」を、だれかの「うれしい」に。”
“The world is imperfect, so do well by doing good. 不完全なこの世界。だから、いいことをして世界と社会をよくしていこう。”
これらの文章は、imperfect公式のウェブサイトにも載っている、ブランドコンセプトやサステナブルな取り組みについてのメッセージでした。こういった伝えたい文章はズラ~っと並べてしまうのではなく、パッケージの中にうまく散りばめられると、買った人だけが読める秘密のメッセージみたいになって素敵ですね!
【こちらの記事もおすすめ】女性の心を動かす化粧品パッケージデザインとは?弊社が手掛けた事例も紹介