こんにちは、広報部長です☆彡
日本の伝統的なお酒「日本酒」。昨今は国内はもちろん海外からも注目を浴びている存在。インバウンド客のお土産品としても人気がじわじわ上がってきています。
日本酒のラベルデザインは、単なる「おしゃれさ」ではなく、酒の個性・蔵の哲学・飲み手の感情をどう伝えるかが重要なポイント。今回はそんな日本酒のラベルデザインに注目してみましたよ◎
1. 日本酒のラベルをデザインする時のポイントは?

お酒の「世界観」と「味わい」を可視化する
日本酒に限らずですが、お酒は銘柄だけで味を判断するのは難しいですよね。そのため、ラベルは第一印象を決めるとても重要なパーツとなります。
例えば…
・フルーティーで軽やかなら「明るい色・余白・筆致の軽い書体」が優しい印象を与えます。
・コクがあって重厚な味わいなら「黒・金・筆文字」でシックに。
・海外への販売も視野に入れるなら「ミニマルな構成・英字ロゴ・メタリック素材」でスタイリッシュに。
味わいや香り、手に取って欲しいターゲットを「視覚化」することでよりわかりやすく届いてほしい所へリーチできるんです。
蔵のアイデンティティを伝える
日本酒は「蔵」を重んじる文化があります。蔵があってのブランド、と言っても過言ではないぐらいなんです!そのため、蔵元の歴史・土地・理念を表現するというのもとても大切です。
・伝統重視なら、和紙や墨文字・家紋モチーフ
・革新志向なら、シンプルロゴ・幾何学・欧文構成
なんていうのが伝わりやすいイメージですね。 「どんな蔵が、どんな想いで造った酒か」をラベルで語るのが日本酒です◎
読ませる情報のバランスを調整
お酒は法律上の表記項目(原料米・精米歩合・アルコール度数など)が必須となるので、視覚的階層設計が重要です。最も使われやすい序列としては、
・ブランド名を最も目立つ位置に
・産地・種類(純米/吟醸など)は次に
・技術的情報は裏ラベルで整理
最も伝えたい情報をシンプルに目立たせる。そのバランスを取らなければならないんですね。表ラベルは「感性」、裏ラベルは「理性」を担当させるというのが一般的です。
トレンド(海外市場)も意識する
日本酒や焼酎は昨今海外からも注目を浴びています。ここを意識するのもこれからの日本酒市場には必要とされています。
海外では、ひらがな・漢字・筆文字の「日本らしさ」がブランド記号になりますが、やっぱり「呼んで分かる」という視点も大切。海外向けとしては、英語表記も加え、読みやすさ・意味の伝わりやすさを考えたいところです。英字を取り入れることで、「伝統×モダン」のハイブリッドデザインを意識するのも良いですね。
2. 見つけた!おしゃれな日本酒のラベルデザイン5選
2-1. 錦鯉(NISHIKIGOI)(今代司酒造 / 新潟県)
ボトル全体が錦鯉の模様になっており、付属の箱に入れると窓から錦鯉が泳いでいるように見えるという立体的なデザイン。これものすごくかっこよくないですか??
昔々、酒蔵も酒屋も酒を水で薄めて売るのが当然だった時代がありました。世間ではこのようなお酒を「金魚が泳げるほどに水で薄められた酒」という揶揄が込められた「金魚酒」と呼んでいたそう。
しかし今代司酒造はその時代からお酒を一切薄めることなく出荷しており、“今代司は「金魚酒」ならず 威風堂々たる「錦鯉」”と言われていました。これはその逸話にちなんだお酒なんですね。
ドイツ「iF Design Award」や日本のグッドデザイン賞をはじめ、世界中で20以上のデザイン賞を受賞。贈り物やコレクターズアイテムとして非常に人気が高いボトルです。

2-2. 新政 No.6(新政酒造 / 秋田県)
レトロなロゴとシンプルなフォント、そして番号とアルファベットだけで構成されたミニマルでモダンなデザイン。まるでワインのようにも思えるデザインなんですが、中身は「木桶仕込み」など伝統的な製法で作られた「ザ・日本酒」なんです。このモダンなデザインのギャップが魅力です。
2-3. Ohmine (大嶺酒造 / 山口県)
大きな円(ドット)をシンボルマークに、白を基調としたミニマルなデザインと英字表記が特徴的なデザインは、海外のデザイナーが手掛けたもの。日本酒というよりは海外のクラフトリキュールのような雰囲気ですね。
海外を視野に入れたデザインで、「映える」日本酒パッケージデザインの先駆け的存在です。
2-4. 天美(長州酒造 / 山口県)
ラベルの中央に大きく配置された抽象的なシンボルマークは、「発酵が一番盛んな、繊細で複雑な瞬間」をイメージしてデザインされています。このシンボルは、蔵元や杜氏が700以上の案から選んだ、最も美しく躍動的な「醪(もろみ)の状態」を表現したそう。一度見たら忘れられない強い印象を与えますよね。
ベースの配色を「純米吟醸(白天)」は白、「特別純米(黒天)」は黒など、シンプルかつ大胆に色分けすることで、味わいの違いを直感的に伝えています。多くの情報が詰まりがちな日本酒ラベルの中で、極限まで要素を絞り、モダンアートのような佇まいを実現し、売り場での差別化に成功しています。
2-5. 黒大豆焼酎 讃州黒(西野金陵株式会社 / 香川県)
日本酒ではないのですが…ひとつだけ、T3デザインの実績からご紹介させてください!
「瀬戸内国際芸術祭2010」に合わせて、「Roooots名産品リデザインプロジェクト」というコンペが開催された際に、コンペに勝ち残り商品化された、黒大豆焼酎のデザインです。実際に蔵元を訪れ、酒造りの場を見て、醸造責任者に話を聞き、実際に酒を飲み、デザインをブラッシュアップしていきました。スリムな瓶にフロスト加工を施し、艶のある黒い大小の円でリズミカルに黒大豆を表現しています。グラフィックは、なるべくシンプルな要素で構成し、ガラスの質感を活かしたデザインにすることで、まじりっ気のない、素材にこだわった黒大豆焼酎のシズル感を引き立てました。






