こんにちは!おはなです!
突然ですがみなさま、「お酒売り場」って、かわいくないですか…?クラフトビールやワインなど、カラフルでデザイン性のあるパッケージがずらりと並んでいてついつい立ち止まってしまう方も多いのではないでしょうか。(私はもはやお酒売り場は気軽に行ける美術館だと思っています笑)
今回は、その中でもクラフトビールのパッケージデザインやブランディングについて深堀りしていきます。パッケージデザインの背景にはどのようなブランド戦略があり、どんなメッセージが込められているのか…。これらの魅力的な要素を通じて、ブランドがいかにして自身の物語を語り、消費者の心を掴んでいるのかを、考えてみましょう!
アサヒビール ユルユルエール
1.クラフトビールにおけるパッケージデザインの重要性
「クラフトビールは、パッケージデザインが単なる商品の容器を超えた重要な役割を果たしています。視覚による情報というものは、消費者の購入決定に大きく影響を及ぼすものの一つです。デザインはブランドのアイデンティティと消費者の感情とのつながりを築く重要な要素でもあります。
このような市場環境では、ターゲット顧客への深い理解がブランド成功の鍵を握ります。若い世代は新しい体験やストーリーを求め、斬新なデザインを好む一方で、ターゲット層が上がると、今度は品質や伝統を重視するようになります。また、特定の趣味や関心(スポーツや音楽等)を持つ消費者グループには、それらを反映したデザインが効果的です。
さらに、クラフトビールのブランディングにおいては、物語づくりが核となります。パッケージデザインは製品の「顔」として機能し、消費者との最初の接点を築きます。そこに製造地域や文化、歴史をパッケージに取り入れることで、単なる飲料を超えた価値を提供します。ブランドのアイデンティティを統一し、消費者が一目で識別できるようにすることも大切です。
パッケージデザインのプロセスは、市場調査から始まり、戦略計画、創造的なアイデア、細部にわたる丁寧な作業を経て、完成します。このプロセスを通じてブランドは、ターゲット顧客のニーズに合ったデザインを創り出し、市場での個性と競争力を築くのです。
これらのことを踏まえて実際の事例をパッケージデザイン会社目線で見ていきます!
2.個性派ビールデザインと言えば【ヤッホーブルーイング】
コンビニやスーパーでよく目にするかわいいクラフトビールの缶。これらは株式会社ヤッホーブルーイング が手がけています。個性的なネーミングや商品パッケージは一度見たら印象に残ること間違いなしです!今回は代表的な3種類を紹介していきます。
「よなよなエール」 は麦畑の上に浮かぶ月を抽象的に表現したパッケージデザインになっており、ネーミングからも夜にのんびりと飲む事をコンセプトにしていることが伝わってきます。また、全体を黒にするのではなく、黄色の枠をつけることでデザインにメリハリがつき、売り場でも目につきやすいパッケージになっていますね。
「インドの青鬼」 は浮世絵を彷彿とさせる青い缶と、雷雲に鬼の顔が印象的なパッケージデザインです。名前を聞いて「?」が思い浮かぶこの商品、インディアペールエールのビアスタイル発祥に関係がある「インド」と、苦みやホップの青々しさを表現した「青鬼」からきているそうです。パッケージの怖すぎない鬼の裏には大量のポップを使うことによる「驚愕の苦み」が隠されています。普段ビールを飲まない人はパケ買いしないように要注意です(笑)
「水曜日のネコ」 は優しい水色に赤やオレンジ、青のポップな差し色が入ったネコが印象的なパッケージデザインです。週の真ん中の水曜日にネコのようにのんびり気ままに飲んでもらいたいという想いが込められているそうです。3つを並べると水曜日の猫が一番飲みやすそうなかわいらしいパッケージですね。曜日を商品名に入れることで、「水曜日に飲むお酒といえばこれ!」と印象付けることができます。もちろん、水曜日以外にも飲めますが!!
3.浪漫と躍動を感じる【エチゴビール】
ビールを片手に微笑む雄ヤギのイラストがトレードマークのエチゴビール 。商品によって缶の色は違えど、表面はロゴで統一されているパッケージは店頭に並んだ際にひときわ目立つ存在です。反対の面はそれぞれのビールのイメージを伝えるビジュアルが躍動感のあるイラストのものと、かわいい白熊のイラスト、2方向で入っています。
躍動感のあるイラストは、2018年春から始まったリブランディングの際に、ブランドメッセージを浸透させることに注力した事から来ています。エチゴビールのブランドメッセージ「Let' be romantic, act on stage!ロマンを語ろう、舞台に立とう!」を伝えるような、舞台に立って活躍する人々が描かれています。イラストのタッチからもお酒を飲みながら音楽が聞こえてきそうな、また、音楽を聴きながら飲みたくなるデザインですね♪
白熊のイラストの商品は、女性をターゲットにしたビールの為、かわいらしさをアピールするために取り入れられています。これらのビールのデザインを比べると、ビールに詳しくなくてもどちらが飲みやすそうかというのは一目瞭然。接客をせずに販売する商品でいかに多くの消費者がパッケージから「これは飲みやすそう」という共通認識を得られることが大切になってきます。
4.世界最高賞受賞の【しまなみブルワリー】
世界最高賞を受賞したことのあるビール職人が広島の尾道で立ち上げた「しまなみブルワリー」 。シルバーの缶に紙のような質感のシールのパッケージです。
「ストライクピルスナー」や「ファーストラガー」は、アーチェリーなどで使われる的のモチーフが目を引きます。ストライクピルスナーはラガーのど真ん中をコンセプトに中心の丸が黒くなっているのに対し、ファーストラガーは1杯目に最適なラガーがコンセプトの為、的の中心に1の数字があります。どちらもシンプルながらも商品の特徴を分かりやすく表現しているパッケージデザインですね。
また、サワーエールにアイスクリームを混ぜた「しまなみキャット」シリーズは、猫のキャラクターに季節ごとのフレーバーがデザインされています。尾道は「猫の街」で、工場の周りでも猫をよく見かけることからパッケージに入れたそうです。このビールを通して尾道に興味を持もってもらい、それを活性化につなげたいという思いが垣間見えます。飲料を通して地元をアピールすることができるのもクラフトビールの醍醐味ですね☆
株式会社モントワール ノンアルカクテルグミ
5.情緒あふれるコンセプト【IB BREWING】
ひまわりや花の絵が情緒あふれるタッチで描かれている「IB BREWING」 は、呉市生まれのクラフトビールです。このビールを製造している2人は旅で出会ったそうです。世界50カ国以上を旅をし、文化や歴史、宗教など日本との違いに触れた中でわかったのは、ビールは人々を繋ぐ共通の嗜好品ということでした。そんな「繋がり」をテーマにクラフトビールを製造している会社です。今まで紹介してきた商品のパッケージとは違い、キャンバスに書いたようなイラストが目を引きます。
ひまわりの絵のパッケージが印象的な「Sunflower Wheat Ale」は、旅の中で出会った1人の女性がIB BREWING設立の際、3枚にわたるキャンバスに無数に咲くひまわりを描いてプレゼントしてくれたことから生まれました。実際にこちらの商品は世界で唯一、ひまわりの種を副原料としたビールです。ブランドの看板商品が1人の女性からプレゼントされた絵からきているというのはとても素敵ですよね。
また、抽象的な花のイラストが描かれた「Honey Hoppy Ale」は、王道のクラフトビールがコンセプトになっています。花の絵であることはわかるけど具体的に何の花かはわからないというところは、ホップが生み出す複数の香りや麦芽と蜂蜜に甘みなどを、ラベルとともに飲み手の方に想像する余白を楽しんでもらうという想いが込められています。
人との出会いや繋がりを大切にしているブランドだからこそ、イラストを描いた人の顔が思い浮かぶような暖かみのあるパッケージデザインとなっています。
6.個性と魅力を伝えるビールパッケージデザイン
いかがだったでしょうか。こうやって比較してみると、クラフトビールはブランディングやパッケージデザインが大切だということが分かります。もちろん、世の中にある商品すべてにおいて言えることではありますが、特にクラフトビールのような競争が激しい市場では、消費者の目を引くためにユニークなデザインと強いブランドストーリーが必要です。パッケージデザインは、ただ商品を保護するだけでなく、その商品の個性や魅力を伝えたり、ブランドのアイデンティティと消費者とのつながりを構築する手段でもあります。それは、消費者にただの飲料ではなく、一つの体験を提供することで、彼らの心に残る特別な存在となるのです。
この記事を読んでパッケージの背後にあるストーリーやインスピレーションに興味がわいたら嬉しいです!それではまた!