T3デザインに舞い込むパッケージデザインの制作依頼は新発売の商品と、既存商品のリニューアルがあります。商品をより愛される存在にする「パッケージリニューアル」にはどんなふうに取り組んでいるのか、ご紹介したいと思います。
「リニューアル」とは、すでにある商品の問題を解決する為のデザインのお仕事です。
パッケージのデザインって、すごく大事じゃないですか(唐突に)。
長く愛されるおなじみのパッケージ、ありますよね。おなじみなようで、実は時代と共に少しずつ姿を変えているパッケージもあります。ずっーと認知されてるってすごく素敵なことだと思いますが、ある日突然がらりとイメージを刷新してまったく新しい姿を見せてくれる。これによってまた消費者に再発見されて、売り上げがどーん!ということもあるんです。
これが「リニューアル」に期待される効果です。商品をより輝かせるため、新しいブランディングのために、人はパッケージリニューアルに取り組むというわけですね。
この「リニューアル」、T3デザインでは一体どんなふうに進めているのか?今回はここを具体的にお見せしつつ、T3デザインが今まで担当させていただいたリニューアル案件の中でも、特に印象的なものをいくつかご紹介しようと思います◎
1.まずは「オリエンテーション」〜 お客様のお悩み、お聞かせください!
「まずはご依頼ありきですので、クライアント先でヒアリングをするところから始まります。こういったような説明の場を「オリエンテーション(略してオリエン)」と総称しています。
こういう時はすでにクライアントの方である程度分析を済ませていることがほとんど。時と場合にはよるので一概には言えません、としつつ、ここで多くの経験から勝手に導き出した「パッケージリニューアル時にクライアントから相談される言葉ランキング」をご紹介します。
1位 見た目がちょっと古い、ちょっと安っぽい
2位 SNS映えの拡散力が欲しい
3位 元々狙っていたターゲット層にアプローチできていない
順番に解説します
1位「見た目がちょっと古い、ちょっと安っぽい」
これが非常〜〜〜〜に多いです。本当によく相談される内容です。この場合、大体以下の2つのケースに分かれます。
1)コピー文が多く、言葉の主張が強いため、商品の印象が薄れてしまっている。
2)過去のデザイン制作時に流行っていたモノをビジュアルに取り入れた為、数年経った今、ミスマッチが起きてしまっている。
このようなデザインは、ローンチ時には時代の流行にのっているため、売り場で目に止まりやすいものです。その分、ロングランさせる為の商品個性が弱くなる為、どうしても時代が変わる度にリニューアルしなければいけなくなるんです。
「当初の予定よりロングセラーになった」という場合もあるので一概に悪いこととは言えないのですが、よくご相談されるケースです。
2位「SNS映えの拡散力が欲しい」
こちらは年々確実に増えているケースです。1位の件とは逆に、「流行」のデザインになりやすい相談であり、1位とセットで相談されることもあります。拡散力を高めるためのビジュアルですが次の時代の「古い」や「安っぽい」にならないよう注意が必要です。
3位「狙ったターゲット層にアプローチできていない」
この相談は2極化します。
a)過去に設定したターゲット層が固定客となり一緒に年齢を重ねていくことに成功はしたが、今本当に使って欲しいターゲットに響かなくなり、購入層の切り替えができなくなったパターン。
b)「結構売れている。それもいい感じに。でも買って欲しい人に買ってもらっていない。なぜこの人たちが!?」という、フタを開けると購入層とターゲット層が違っていたパターン。
実際に固定客がいる、という良い側面も持ち合わせているので、クライアントの「ちょっと惜しい...」感がビンビンに感じられることもあります。
他にも理由さまざまなのですが、このように既にクライアント側で問題を見つけて、デザインでの「課題の解決をしてほしい!!」という形でご相談を受けることが多いです。
2.今度はチーム内で消費者になった気持ちで「オリエンテーション」
さて、クライアントからの要望を受け止め持ち帰り、今度はT3デザイン社内でチーム内に「オリエン」です。このとき、オリエンテーションのオーディエンスはデザイナー。彼らには、消費者になった気持ちで聞いてもらっています。
新商品パッケージでもパッケージリニューアルでも、この工程は基本的に変わらず行います。限りなくユーザーに近い目線を持つことで、クライアントとは違う角度から解決すべきポイントを絞っていくわけです。
そこは仲間内ですので、思った以上に辛辣な言葉が飛び交うこともあります。が、その反面、魅力的な部分もたくさん見つけられる、大事な場です。(クライアントには直接言えないようなことも...良いものをつくるためなのでお許しください。・゜・(ノД`)・゜・。)
魅力的な部分を課題解決の軸としてアイデア出しをレッツスタートです。
3.アイデア持ち寄りで方向性を定める
アイデアをデザイナー同士で持ち寄り、方向性を定めます。
デザイナーによって解釈や打ち出し方が全然違うので、同じポイントにフォーカスしているつもりでも、実にいろんな角度からアイデアが出てきます。
メンバーでアイデアを出すごとに、今まで見えていなかった商品の魅力が高まり、この段階でもう商品が欲しくなってしまうような瞬間も。この時が一番ワクワクしますし、何より楽しい時間です。
そんなたくさんのアイデアの中から「強みをオリジナリティのあるビジュアルにできる案」を基準に選定していきます。
パッケージデザインリニューアル案件の際は、リニューアル前(現行デザイン)のビジュアルとのリンクも意識します。せっかくクライアントが開発した商品・ブランドです。その商品が好きな人・思い入れのある人もたくさんいるはずですので、「変化」ではなく「進化」という形で見せてあげたい、と考えています。
4.グラフィック作成〜「パッケージデザインリニューアルのなるほどを」を引き出すようなプレゼン
そうして、社内で考えた解決案や複数の方向性を携えて、いよいよクライアントにプレゼンを行います。この時「パッケージリデザインニューアルのなるほど」を引き出すようなプレゼンを行うよう心がけています。
「パッケージデザインリニューアルのなるほど」とは…?
名残を残しつつ新しさがあるか
いきなり顔が変わると現在の固定客が迷ってしまいます。とはいえ、名残を残しすぎるとパッケージデザインリニューアルの意味がなくなってしまいます。商品のオリジナリティの部分を残しながらも、明らかに変わったという印象をクライアントに伝えられるようにしています。
オリジナリティを高めているか
もともとのオリジナリティを残すだけでなく、さらにオリジナリティが引き立つようにします。競合商品との差別化を行ないつつ、消費者(エンドユーザー)に覚えてもらえるようにというのが理想です。固定客には「進化」を分かりやすく伝え、新規客からは共感を得てもらうようにというのがベスト。そのあたりを踏まえつつ、売り場での見え方や印象、どう話題にされるかを意識します。
消費者とのコミュニケーションを進化させているか
売り場での反応から家に持ち帰って使用するまでのコミュニケーションがどう変わるかを考えます。
「商品がどう便利なのか」だけでコミュニケーションを図っても世の中にはすでに便利なものが溢れています。それだけでは、消費者側で特徴を差別化して見つけることは難しいもの。消費者とのコミュニケーションを確立させるためには、機能性以外の付加価値を想起させるよう、より進化させたものでご提案するよう心がけています。
これらの「パッケージリデザインニューアルのなるほど」を組み合わせ、その商品のもつ課題をクリアできるようビジュアルを制作することで、自信を持ってプレゼンに臨んでいます。
パッケージデザインリニューアルは固定客の支持率に影響します。今まで生き残ってきた商品を切り替えることになるので、クライアントにとっては不安な部分もあるかと思います。
商品の特徴や効果を伝えることはとても大切。しかし、商品が役割として存在するだけでなく、ユーザーとどういうコミュニケーションを取るのか、どういうストーリーを歩んでいくのかを提案できるように、T3は考えています。
そのため、「便利」や「良い雰囲気」だけではなく、消費者と商品のコミュニケーションを設計することで、クライアントの不安を自信に変えることができれば…という思いで日々デザインを行っているわけです。
これまでを踏まえて、T3デザインが「リニューアル」に取り組んだかわいいかわいい商品達をご紹介しますね!
5.T3デザインが手がけた「パッケージデザインリニューアル」実例
5-1.より洗練された世界観へアップデート【ファンケル AND MIRAI」
株式会社ファンケル様のスキンケアブランド「AND MIRAI」は、2018年の立ち上げからT3デザインがお手伝いさせていただいています。
ブランド立ち上げ当初は、黄色とピンクのグラデーションを基調に、共通の「&」のアイコンを大きく配置したデザインでした。
リニューアル後は、「&」のモチーフやグラデーションなどのイメージは引き継ぎつつ、一つ一つの色や質感にこだわることで、個々のアイテムの効能を際立たせるデザインへ変更。高級感を持たせ、ターゲット層をより高い世代へと広げています。
「&」のロゴマークを象徴的に見せることで、アイテムの特徴や個性を表現しつつも統一感を与え、新しい「AND MIRAI」の世界を美しく作り上げました。
5-2.ロングセラーをよりアイコニックに新しく【カンロ ナッツボン】
発売から50年以上愛され続ける、カンロ株式会社様のナッツクランチキャンディ「ナッツボン」。既存のファンにも、新しい若年層のユーザーにも魅力を訴えかけることのできるよう配慮してデザインしました。
クラフト風の印刷と、昔ながらの純喫茶をイメージしたパネルでレトロな温かみを表現。真ん中に配置した”ナッツぼうや”の可愛らしい仕草とキャッチコピーが、「味わう幸せ」をよりアイコニックに際立たせています。
5-3.タネから育てるわくわくをひと目で伝える。【サカタのタネ Seedfun.」
タネまき資材で親しまれている株式会社サカタのタネ様の「サカタのタネ ガーデンシリーズ」のデザインリニューアルです。「タネから育てるわくわくを」をブランドコンセプトとし、ネーミング、パッケージデザイン、ブランドサイト のデザインまで全て担当しました。
「fun(楽しい)」を軸にブランディング。家庭菜園初心者やお子様のいる家庭など、老若男女問わず、誰でも簡単に家庭菜園が始められる、取り組みやすい設計を目指しています。
「Seed(タネ)+fun(楽しい)」から、「Seedfun.」とネーミング。華やかな色使いと可愛らしいロゴマークが、よりワクワク感を演出します。ブランドとしての統一感も意識しつつ、それぞれの資材のモチーフを抽象化し、特徴がひと目で伝わるようデザインしました。
6.パッケージデザインリニューアルは商品とって大事なターニングポイント
「もっと認知を高めたい」「売り上げをもう少し上げたい」など、パッケージデザインリニューアルに込められた思いは様々。目的によってリニューアル方法もたくさんあります。長く安定した歴史を持つ商品も、パッケージデザインリニューアルによってブランドを再認知してもらう効果が狙えますね。
T3デザインでは、商品のさらなる魅力を引き出すためのパッケージデザインリニューアルを、積極的にお手伝いしております。ぜひご相談ください!