2022/8/18公開
2024/7/30更新
ユニバーサルな目標として掲げられるSDGs(持続可能な開発目標)。社会全体の持続可能性をはかるための世界的なムーブメントでありながら、ひとつのトレンドとしても注目を浴びています。
この目標は17のゴールから成り立っています。中でもサステナブルな社会実現に向け、多くの化粧品メーカーが取り組む内容が、以下の環境問題とジェンダー問題に対する4つのアプローチです。
特に「12. つくる責任つかう責任」「14. 海の豊かさを守ろう」「15. 陸の豊かさも守ろう」の3つは、化粧品パッケージ制作やデザインに大きく関わってくると見られています。。今やコスメ業界にとって、「エシカル」「サステナブル」を意識した商品作りは、企業自体のブランディングのためにもとてもメリットのあるものとなっているんですね。
1.エシカルコスメとは地球環境や、人、社会に配慮された「倫理的な化粧品」
そうした世界の流れの中で生まれたのが、エシカルコスメです。
「エシカル」とは、「倫理的な」という意味。「エシカルコスメ」は、地球環境や、人、社会に配慮された「倫理的な化粧品」。地球の環境を壊すことなく、資源を使いすぎることもない、循環しながら未来へと持続可能(サステナブル)なコスメと定義されます。コスメに限らず、こういった商品を選んで購入・消費することを「エシカル消費」と呼び、SDGsに大きく貢献する考え方なんですね。
エシカルコスメは、自然や植物由来のオーガニック原料を使用するなど、中身に注目した取り組みが多いのですが、パッケージ制作においても、環境にやさしい設計を目指すブランドが増えているんです。
T3デザインも、この流れには大いに注目しています!
今回は、デザイン会社としてパッケージ制作の中で取り組めるエシカルな試みを、参考事例とともに紹介。今T3デザインが注目するおすすめブランドをピックアップします◎
2.エシカルな化粧品ブランド実例7選
2-1.本体容器は96%リサイクルプラスチック【Diane be true】
ブランドコンセプト:ワタシも地球も好きになる
ネイチャーラボが取り組むビーガンヘアケアブランド。モロッコの国家プロジェクトや最先端の香料抽出技術を使用した、廃棄物ゼロのサステナブルな試みです。
本体容器は、96%リサイクルプラスチックのボトルを使用。詰替は、本体容器よりも廃棄プラスチックを約82%(重量比較)削減しています。さらに化粧箱を削減し、POP型のセットパッケージが採用されているところにもこだわりが見えますね。
2-2.ビーチフレンドリー処方のエシカルコスメブランド【ALLIE】
ブランドコンセプト:ひと塗りから、世界を想う。美しさつづく。
カネボウの誇るスキンケアブランドとして15年以上の歴史を持つ「ALLIE」。実はこのSDGsの波に乗って、サステナブルなコスメとしてリニューアルを遂げています。
現在世界では、一部の国や地域・ビーチにおいて、特定の成分を含む日焼け止めの持ち込みや販売を制限する取り組みが行われています。ALLIEは、そんな動きに配慮した「ビーチフレンドリー処方」を採用。パッケージにおいてもプラスチックを削減し、環境に配慮したものに変更されています。また、回収した店頭販促物を再利用し、素材の一部として使用する、「アップサイクル」に取り組んだ限定パッケージの販売も。
「ALLIE」のブランド名はハワイ語の「王族・貴族」を意味する言葉に由来しており、このことから、ハワイの環境保全活動にも積極的に参加しています。
2-3.「もったいない」の気持ちを商品にも徹底
ブランドコンセプト:人に寄りそう。肌に向きあう。
通販化粧品の老舗・再春館製薬所の「ドモホルンリンクル」も、実は発売当時からエシカル。
化粧品の処方には、廃棄されるものから抽出した成分を使用。捨てられていたものを活かし、それが持続可能かどうかを見極めて素材選びをしているそうです。瓶を包むタオルは、今治タオルの工場で廃棄された糸で織られたアップサイクル製品。さらに能書は兼用スリーブで簡略化するなど、「もったいない」の積み重ねを未来へ繋げる活動をしています。
2-4.プラスチックからアルミへ切り替え【herbfarmacy】
ブランドコンセプト:種から肌へ
1978年、植物学博士であるポール・リチャーズ氏が食用ハーブを作るために、安心できる土壌をつくるところからはじまったのが「herbfarmacy」。有機栽培で育てたハーブの種のみをくり返し撒いて育て、もっとも難しいとされる有機の種子づくりから大切に増やしてきたハーブたちを使って作られています。
herbfarmacyの商品はすべて、1946年に設立された英国最大の有機認証機関ソイル・アソシエーション・サーティフィケーション(Soil Association Certification Ltd)のオーガニック認定を受けており、同時にネイチャーウォッチ財団の登録団体で、動物実験を一切行わない、PETA’s ‘Beauty Without Bunnies’プログラムに認定されたクルエルティフリー企業。さらには農場で使われるエネルギーはすべてクリーンエネルギーという徹底ぶりです。
これに加え、近年はプラスチック容器からアルミ製のポットとボトルに切り替えているところだそう。アルミのクリームポット、とってもかわいいんです。
2-5.環境負荷を多角的に検証しパッケージを選ぶ【WELEDA】
ブランドコンセプト:自然をひもとき、あなたの美しさへ。
オーガニックコスメブランドの老舗と言えば「WELEDA」。独自の価値観を持ったユニークな組織で、企業としての利益を追求しながらも、地球や環境、そこに住む人をいたわる目線を忘れず、健全であり続けることに力を注いでいます。
もちろん製品製造にもなみなみならぬこだわりがあり、原料は100%天然由来。合成保存料も含まれないため、品質保持機能の高い容器を選ぶ必要があります。その上で、製品特性と容器素材との相性、輸送時の環境負荷などを総合的に判断して容器を選んでいます。
現在取り組んでいるのはアップサイクル活動。プロダクトサイクルの循環を実現することで、世界的に注目されるプラスチックごみ問題や廃棄ごみの軽減に貢献しています。「ヴェレダ・ジャパン」のシールが添付されている使用済み空容器を店舗に持参すると、エコポイントサービスが受けられます。
2-6.生産プロセスにも配慮する日本生まれのブランド【Spoon Spoon】
ブランドコンセプト:救う、を気軽に。
日本生まれのエシカルコスメブランド「Spoon Spoon」。その全ての商品は、無農薬・無化学肥料栽培の原料で作られ、合成色素、合成界面活性剤、防腐剤、香料、鉱物油、合成ポリマー、合成溶剤といった化学合成成分も一切含んでいません。
さらに、生産プロセスにできるだけ障がい者を採用することで、関わる障がい者が継続的に収入を得られるビジネスモデルづくりにも取り組んでいます。
つめかえ用のボトルを販売することで、ボトルの再利用とゴミの減量化に努めており、また環境に配慮した簡易包装なども心がけています。
2-7.ブランド内でリサイクルプロジェクトを展開【amritara】
ブランドコンセプト:「いらないものは、いれない」「世の中にないものを生み出す」
「amritara」は、2008年に誕生した国産のオーガニック化粧品ブランドです。野生や農薬不使用の植物が持つ力「フィトエナジー」を活かし、独自の厳しい基準「アムリターラ化粧品10の約束」を守りながら、九州にある自社農園をはじめ、日本各地で農薬を使わずに自然循環型農法で育った植物を積極的に使用し、商品を製造。地域ならではの特産品を用いることで生産を守り、地域振興にもつなげています。
外箱に使用している紙やショッパーなどは、森林と環境に配慮した紙を、トライアルサイズの外袋は環境にやさしい石灰石を使った「ストーンペーパー」を採用しています。また、OPP袋等も順次バイオマスプラスチックが配合されたものに切り替えており、レフィルを活用して容器やコンパクトを繰り返し使用するなど、環境配慮にも積極的。
直営店では、使用済み化粧品容器を「資源」として回収し、新たな製品に生まれ変わらせるリサイクルプロジェクト「アムリサイクル」を展開。廃棄物として扱われるプラスチックを減らすことで環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現を目指しています。
3.これからの化粧品パッケージデザインのミッションとは?
環境保全や社会へ配慮することは、永く地球で暮らすために大切なポリシーです。これを実現するために、消費者をサステナブルな思考とエシカル消費に導くのが、これからのあらゆるメーカーのミッション。そしてデザイン会社は、地球にやさしいパッケージをデザインすることで、貢献していかなければいけません。
化粧品パッケージデザイン特化チームCreative beautyは、サステナブルなパッケージデザインの知見を広げるべく日々研究を重ねています。クライアント様のサステナブルな商品作りに貢献できれば嬉しいです!ぜひご相談お待ちしております!