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日本向けに変身! 海外ブランドのパッケージデザインローカライズ

2025.12.26
知識 / ノウハウ

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日本向けに変身! 海外ブランドのパッケージデザインローカライズ

こんにちは!広報部長です☆彡

「サービスや製品、コンテンツなどを特定の国や地域の言語、文化、習慣、法律、商習慣に合わせて最適化・適応させること」を「ローカライズ」と呼びます。

簡単に言うと、海外製品を日本で売る時に「日本仕様」にすることですね。

今回はこの「ローカライズ」のお話。海外のお菓子や雑貨のパッケージデザインってめちゃくちゃかわいいですけど、そっくりそのまま日本語にタイトルだけ変えて売ってることって少ないですよね。それって、ちゃんと理由があるんですよ。

1. 海外製品を日本に「ローカライズ」したい!…どうする?

「安心・信頼」が最優先

海外製品を日本市場に展開したいと思ったとき、海外で使われているパッケージをそのまま輸入して、言葉をそっくりそのまま日本語に置き換えるだけではうまくいきません。

「日本で生活している人」に選ばれるためには、パッケージデザインはもちろん、味や使い心地、流通チャネル、そして商品が持つメッセージまで含めて、日本の暮らしや価値観に合わせて総合的に最適化することが大切なんです。

これを踏まえると「ローカライズ」とは、「海外で成功した商品を持ってくること」ではなく、「日本で自然に受け入れられる存在」へと再設計することになりますね。

では、ローカライズを成功させるためには具体的にどうすればいいでしょう?

次の項で考えてみます!

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2. ローカライズを成功させるために必要なポイント3つ

2-1. 消費者視点・生活環境への適応

まず大切にしたいのは、「日本の暮らしに “ちゃんとフィット” しているか」

海外製品を日本向けにローカライズするとき、最初に考えるべきなのは日本の生活環境や消費者視点に合っているかどうかです。

住宅事情、ライフスタイル、食習慣、情報の受け取り方などなど、どれをとっても国ごとにかなり違います。海外の映画やドラマを見ていても「こんな習慣があるんだ!」「これってどういう意味?」って思うこと、ありますよね?

そういった国ごとの「生活」や「スタイル」は、そのまま物事の受け取り方にも影響します。つまり、パッケージデザインの受け入れられ方にも如実に違いが現れるということなんです。

海外では成立している表現でも、日本では

「情報が多すぎてうるさい」
「サイズ感が違う」
「使用シーンが想像しにくい」


といったズレが生じることがあります。
ローカライズとは、ただ翻訳することではありません。「日本の生活の中で自然に使われる姿」を想像しながら再設計することなんです!

事例① Febreze Car(アメリカ → 日本)

Febreze Car(アメリカ → 日本)

【情報量を減らし、直感で伝える設計へ】

アメリカ版の『Febreze Car』は、パッケージ表面に、香りの特徴や効果、ブランドメッセージなど、多くの情報が文字として配置されています。
これは「しっかり読んで納得してから買う」文化に合った設計です。

一方、日本版では、訴求文言が大幅に整理され、香りのイメージと清潔感、見た目のわかりやすさが優先されています。
車内という小さな限られた空間と、日本の消費者が重視する「ぱっと見の印象」を踏まえて、視覚的に直感で選べる設計へとローカライズされているんですね。

事例② Häagen-Dazs Japan(アメリカ → 日本)

Häagen-Dazs Japan(アメリカ → 日本)

【 “日本向け” でありながら “アメリカブランド” を守る】

ハーゲンダッツの日本展開は、ローカライズの代表格。抹茶や黒ごまといった日本独自のフレーバーを展開しつつ、パッケージには和柄や落ち着いた色彩を取り入れ、日本ならではの表現に寄り添っています。

特に象徴的なのが、商品名を「抹茶」ではなく「グリーンティー」とした点です。これは、日本市場に合わせながらも「アメリカ発のプレミアムブランド」というアイデンティティを保つための戦略的判断だそう。なるほど、ものすごく考えられています!!

結果として「グリーンティー」は日本限定フレーバーでありながら、ストロベリーやバニラと並ぶ、ブランドを代表する定番商品へと成長。ローカライズとブランド戦略を両立させた超・好例ですね◎

辛ラーメン(韓国 → 日本)

【調理文化と家庭環境への適応】

韓国版の辛ラーメンは、屋台文化や鍋料理を前提とした力強いビジュアルと訴求が特徴です。

一方、日本向けでは、家庭での調理方法を分かりやすく表示する、小型パッケージや用途別展開を行うなど、日本の家庭環境に合わせた工夫をしています。

ちなみにT3デザインが担当した限定商品では、韓国の街角屋台「ポチャ」を想起させるネオン調のデザインを採用し、異国感・本場感を演出しつつも、日本の売り場で映える表現に落とし込んでいます。ぜひご覧くださいね◎

2-2. パッケージ・製造地/流通チャネルのローカライズ

さて、海外製品ローカライズでもうひとつ大切にしたいのが、製造・流通・売り場環境への適応です。

日本は小さな島国ですので、世界的に見ても店舗面積が限られています。また、自販機やコンビニの文化がとても強いというのも特徴です。この広さ問題などに由来する、陳列ルールや什器サイズの違いも注目のポイント。これらすべてにフィットするパッケージのサイズや形状が、売れ行きを大きく左右しているんです。

日本向けローカライズでは、「どこで、どう売られるのか」を前提にしたパッケージ設計をしておきたいところです。単にサイズを小さくするのではなく、流通構造に最適化する再設計を行わなければならないんです!

事例① Coca-Cola(アメリカ → 日本)

Coca-Cola(アメリカ → 日本)

【自販機・コンビニ文化に最適化されたサイズ戦略】

コカ・コーラは、日本市場向けにスリム缶や小容量ボトル、地域・季節限定ラベルなど、多彩なパッケージ展開を行っています。

特にスリム缶は、日本の自販機やコンビニの棚幅に合わせて設計されており、「ちょっと飲みたい」「持ち歩きやすい」といった日本の消費行動にぴったりフィットしています。

また、地域限定ラベルやコラボデザインを使って、流通チャネルごとの選ぶ楽しさを生み出している点も、日本向けローカライズの特徴です。

事例② KitKat(イギリス/Nestlé → 日本)

KitKat(イギリス/Nestlé → 日本)

【個包装と “お土産文化” への適応】

みんな大好き『キットカット』。これももともとは海外商品なんです。日本市場で独自の進化を遂げた代表的なブランドであり、もはや生活に欠かせないお菓子ですよね。

日本版ローカライズでは、個包装、小箱化、紙パッケージへのリニューアルが進められ、現在では約400種類ものフレーバーが展開されています◎

これは、日本特有の「お土産文化」がベース。配りやすさへの配慮や軽量・省スペース志向に対応した結果です。パッケージは単なる入れ物ではなく「贈る」「分ける」という行為を支える設計として機能しています。

事例③ h&s(アメリカ/P&G → 日本)

h&s(アメリカ/P&G → 日本)

【日本の浴室環境に寄り添ったサイズ感】

h&sの日本版は、浴室に置きやすいサイズ、並べたときに整って見える形状、清潔感を重視したデザインへとローカライズされています。

日本の浴室って、海外と比べてスペースが限られていることが多いですよね。シャンプーやボディソープなど、ちょっと置いただけでいっぱいになってしまいます。なので、「置けるかどうか」「ごちゃつかないか」は、消費者の間でもかなり重要な購買判断軸になっています。

こんな事情を踏まえてパッケージは、使う場所を前提にした「生活空間への配慮」が反映された設計になっています。

2-3.ブランドメッセージ・価値の再設計(コピー/訴求ポイント)

海外版と日本版、顕著に違いが出るのは、実は「ロゴ」と「カラー」なんです。海外製品のロゴって某輸入雑貨店などで見ると「すごくかわいいな」と思う一方、スーパーやコンビニにそのまま並んでいると、なんだか異彩を放ちますよね。この「見え方」がとっても重要ということなんです!

ロゴやカラーを使って「何を価値として伝えるのか」。その軸自体を日本の消費者心理に合わせて再設計する必要があります。

日本には、季節感への感度が高く、情緒やストーリーを重視する、社会性・やさしさ・共感が購買動機になるという傾向があります。

パッケージにおけるコピーや訴求ポイントもこの感覚に合わせて、「強く訴求する」より「丁寧に伝える」設計が求められがちです。ローカライズとは、ブランドの核を守りながら「価値の語り方を変える」という側面もあるんですね。

事例① Starbucks(アメリカ → 日本)

Starbucks(アメリカ → 日本)
2026年、午年に合わせた日本限定デザインです。かわいい〜

【季節と地域文化を “楽しむ価値” に変換】

スターバックス、すっかり定着しましたね。日本にやってきた頃は「シアトルからものすごいおしゃれなコーヒー屋さんが来た!!」という印象でしたが、今や気軽に立ち寄れて、ちょっと気分を上げられる場所になっています。

さて、スタバが日本市場向けに行ったのは、季節限定デザインや地域限定マグカップ・タンブラーの導入です。桜や紅葉、地域モチーフなどを取り入れたデザインは、単なるグッズではなく、「その瞬間・その場所を楽しむ体験」ともなっています。ご当地ものや限定もの、日本人に心に刺さりますもんね◎

これは「コーヒーを売る」から「ライフスタイルや記憶を共有する」へと価値の伝え方をローカライズしている好例です!

事例② Dove(アメリカ → 日本)

Dove(アメリカ → 日本)

【やさしさと安心感を前面に出したコピー設計】

肌に触れるものは特に、その国に合わせた感性や質感、香りなどが大切です。Doveは、日本人の肌質や毎日の入浴・洗髪習慣に合わせた成分設計とともに、コピーも「やさしさ」「うるおい」「思いやり」を軸に展開しています。

海外版に見られる力強い表現や香りよりも、安心して毎日使えることを前面に押し出すことで、日本の生活に寄り添うブランドイメージを築いているんですね。

事例③ Tropicana(アメリカ → 日本)

Tropicana(アメリカ → 日本)

【家庭飲用を前提にした価値の再定義】

トロピカーナの日本版は、小容量ボトル、日本語ラベル、家庭での飲用シーンを想起させる表現へとローカライズされています。

「ヘルシーで手軽」「家族で安心して飲める」といった価値をコピーとビジュアルの両面から伝えることで、日本の日常生活に溶け込む飲み物としてのポジションを確立しています。

3. ローカライズは商品とブランドを見つめ直すこと

海外製品を日本市場で成功させるためには、パッケージだけを整えるだけではうまくいきません。味や使い心地、流通チャネル、そしてブランドメッセージまでを全体の再設計が欠かせないんです!

ご紹介した事例にも共通していますが、ブランドの核を守りつつ、日本の暮らしや価値観を踏まえて最適化するという点が大切になってきます。「日本でどう売るか」を起点に、商品とブランドを見つめ直すことが、日本向けローカライズを成功へ導く最大のポイントと言えるでしょう。

さて、T3デザインではもちろん!海外製品パッケージの日本向けローカライズのご依頼も受け付けております。その商品「らしさ」を再定義する大切な作業、ぜひご一緒させてください◎ どうぞお気軽にご相談くださいね。

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