こんにちは!広報部長です。
広報部長は和菓子がとても好きなのですが、仕事柄、味とともにどうしてもパッケージが気になってしまいます。最近は地方のお土産にしても、デパ地下の和菓子屋さんにしても、モダンで洗練されたパッケージが増えてますなあ…と感じています。
伝統性と現代的な要素が融合する「和モダン」なパッケージデザインは、そのスタイリッシュさから非常に人気で、国内外で注目を浴びています。T3デザインにもそんな和モダンを意識したデザインのご依頼が少なくないんですよ。
今回は、T3デザインが実際に手掛けた「和モダン」なデザインと、広報部長が気になる「和モダン」なデザインをテイストごとに分けてご紹介します。
「和モダン」の一体どんなところに魅力があるのか、についても考察しましたので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
1. シンプルスタイリッシュな和モダンパッケージ
1-1. 黒大豆焼酎 讃州黒(西野金陵株式会社)
「瀬戸内国際芸術祭2010」に合わせたコンペ「Roooots名産品リデザインプロジェクト」でT3デザインが勝ち残り商品化された、黒大豆焼酎のデザインです。
実際に蔵元を訪れ、酒造りの現場に触れ、醸造責任者に話を聞き、試飲することでデザインをブラッシュアップしていきました。スリムな瓶にフロスト加工を施し、艶のある黒い大小の円でリズミカルに黒大豆を表現しています。
グラフィックは、なるべくシンプルな要素で構成し、ガラスの質感を活かしたデザインにすることで、まじりっ気のない、素材にこだわった黒大豆焼酎のシズル感を引き立てました。
1-2. すぐき乳酸菌パウダー(株式会社ココリ)
こちらもT3デザインが手がけた、すぐき乳酸菌パウダーのパッケージデザインです。
日本の伝統的な発酵文化を今のライフスタイルに取り入れるという特徴を、和の繊細なあしらいと、スタイリッシュさを感じるすっきりとしたレイアウトで表現しました。
背景の模様はすぐきのシルエットと腸がきれいになる様子を表現しています。暮らしをより上質にしてくれそうな佇まいのデザインです。
1-3. ミルク&ビターチョコレート(Made in ピエール・エルメ)
選りすぐりの日本の各産地とコラボレーションすることで、その魅力を世界へと発信していく「Made in ピエールエルメ」。
ホワイトの地に縦書きのロゴが配置されただけという「シンプル、ここに極まれり」なデザインですが、日本語に特有の文字「カタカナ」と「縦書き」というこの二つ要素だけで見事に「和」を表現しています。
このチョコレートボックスには、水引きを模したバンドがかけられていて、贈答用にも耐えられるデザイン。引き算の美学で「日本的」「現代的」の両方を叶えるクリエーションになっています。
1-4. 大福 (It Wokashi)
「It Wokashi(イトヲカシ)の代表菓子である大福(It Daifuku)のパッケージ。「飲めるほど柔らかい大福」と表現され、若い世代を中心に人気を集めています。
今までの大福の概念を大きく覆すことで話題の商品ですが、このパッケージデザインも実に斬新。大福の円、フレーバーを想起させる色使い、屋号(大徳屋長久)に使われている「久」の文字と富士山、日の出を組み合わせたロゴがとてもスタイリッシュで、そこはかとなく「和」の雰囲気が漂います。
先にパッケージデザインを構築してから、そこにはめこむ商品を企画したというその経緯も、とっても「モダン」ですね。ちなみにこの大福、めっちゃくちゃおいしいです!
2. 高級感のある和モダンパッケージ
2-1. ツヤゴロモシリーズ(株式会社ファンケル)
T3デザインが手がけた、日本人本来の艶やかで豊かな美髪に導くシャンプー&トリートメント「ツヤゴロモ」のパッケージデザインです。
髪の悩みに合わせて2つのタイプがあり、パサついたり、まとまりにくい髪向けのミネラルリペアには真っ直ぐしなやかに伸びる力強いモチーフを、ハリやコシが気になってきた髪向けのバイタルボリュームにはふわりと流れる健やかなモチーフで、それぞれの機能性を想起させます。
また、モチーフの中に一筋の輝くゴールドのラインを添えて、深みのある色に映える美しく艶やかな美髪を象徴的に表現します。
2-2. めでたもなか(中川政七商店)
おめでたい縁起物の鯛、梅、瓢箪、招き猫をかたどったもなかです。
しっかりとした貼り箱はおめでたさを端的に表す朱色。大きく表面に施されているのは「中川政七商店」のロゴマークです。中川政七商店自体は、創業1716年という圧倒的に歴史ある企業で、奈良に本社を構えています。
その頃から使っている伝統あるロゴマーク…と思いきや、実は「300年前から使っていたようなロゴ」として2010年にデザインされたものなんです。歴史を意識し、和のオリジンをふんだんに盛り込んだロゴが金の箔押しで朱の箱にばしっと印刷されている、そのさまだけで「めでたさ」「高級感」を両立させていますね。
2-3. 茶葉5種詰め合わせ(SABOE)
現代における喫茶の様式を創造し、次世代へと継承していくために活動している「茶方薈(さぼえ)」の茶葉5種詰め合わせパッケージ。
墨色の外箱にはエンボス加工されたロゴマーク。和紙の質感を活かしたプリントも施されています。5種類の茶葉をそれぞれ収めた赤銅色の唐草模様のパッケージにも「伝統」と「侘び寂び」が感じられます。
3. かわいい和モダンパッケージ
3-1. フクサヤキューブ(福砂屋)
日本の伝統菓子・カステラの老舗「福砂屋」が、熟練した職人による伝統のカステラをポップにアレンジしたキュートな小箱「フクサヤキューブ」。
サイズ感と中身がぱかっとポップアップする正方形の箱がなんとも可愛らしい商品ですが、季節ごとに限定パッケージが発売されるのも見どころです。
冬の限定はこの「寒椿キューブ」。地文様の紗綾形(さやがた)文様は家の繁栄、長寿の意味を成し、寒椿は冬枯れしない艶やかな常緑樹であることから吉祥、子孫繁栄の喜ばしい木とされています。日本の伝統的なモチーフを現代的な商品の在り方に落とし込んでいる好例です。
3-2. 万華鏡のかけら(越乃雪本舗大和屋)
万華鏡のビーズに見立てた色とりどりのかけらを 錦玉の中に散らして乾燥させた干菓子を筒に収めたのが「万華鏡のかけら」。
琥珀糖のきらきらを万華鏡の中の景色に例えるという、コンセプトから可愛らしすぎるお菓子ですが、パッケージデザインにも余念がありません。子供の両掌に収まる大きさの万華鏡の筒に、レトロなイラストとロゴ。中身のカラフルさを想起させる色使いの麻の葉文様が、かわいらしく「和」を表現しています。
3-3. 胡粉ネイル(上羽絵惣株式会社)
上羽絵惣創業以来の看板商品であり、日本画の重要な白色顔料である「胡粉」を使ったネイル。日本の伝統色をベースとしたカラーバリエーションで、なんと110色以上もラインナップされています。
その象徴的なトレードマークは「白虎」。大正時代に六代目当主が考案したとされるこのマークは、当時流行していたアール・ヌーヴォーの影響を受けたとされるまさに「和モダン」なデザイン。
ラベルの隙間から見える伝統色とあいまって、飾っておきたくなるような、かわいらしくも美しい佇まいになっています。
4. 和モダンなパッケージデザインのポイントは?
「和モダン」なデザインの魅力は、伝統的な和風のデザインと、洋風に近い現代的なテイストを融合させたところ。温かみがありながら、ちょっと大人っぽく涼やかで、静謐さも感じさせます。具体的にはどんな要素が魅力を感じさせるのか、考えてみました。
伝統的な要素が取り入れられている
例えば、「万華鏡のかけら」や「すぐき乳酸菌」のパッケージのように、麻の葉、七宝、唐草など、日本の伝統的な模様やテクスチャを取り入れることで、和の雰囲気が引き立ちます。「フクサヤキューブ」のような、日本の自然や季節のモチーフも和テイストにはよく用いられますし、季節限定パッケージなどでは特に好ましい印象になりますね。日本の伝統的な色彩が取り入れられている
日本の伝統色は、日本文化特有の色彩感覚に基づいた色や、歴史資料に出典がある日本固有の伝統的な色名称を含む色で、一説には1100色以上あると言われています。それぞれに名前があり、ものによっては物語に基づいていたりと、意味やメッセージが強く込められているものばかりです。そんな伝統的な色彩をベースに使い、そこに現代風のアレンジを加えることで、洗練されたデザインがうまれます。
また同じように和紙や麻、木材のような素材のモチーフと色彩の取り合わせも相性が良いとされています。流行のエコやサステナブルにもつなげやすいと言えますね。
シンプルさ、空間の美学が感じられる
日本の美意識では、「間」や「余白」が重要とされています。「Made in ピエール・エルメ」や「SABOE」のデザインに見られたような雰囲気ですね。シンプルさを意識しつつも、適度な余白を設けることで視覚的なバランスが整い、洗練されたデザインになります。これはやはり流行の「ミニマル」にも通じる発想で、必要最低限の情報だけを記載し、視覚的にスッキリさせることで、細部にこだわる日本の美意識を強調させることができるというわけです。
和モダンのパッケージデザインは、グローバルにも日本の魅力を発信させることができる表現方法のひとつ。現代のライフスタイルに調和するデザインを意識することで、より強いインパクトを生み出すことができます。
5. 【和モダン】なパッケージデザインならT3デザインへ!
「和」のモチーフやテイストはいつの時代も人気です。伝統を上手に取り入れて、商品をかわいらしくもかっこよくも変貌させることができる「日本」ならではの強い武器であるとも言えますね。
ご紹介したとおり、T3デザインでは「和モダン」なデザインも数多く手掛けています。もちろん最初のコンセプト作りからお手伝いできますよ。和菓子から和食器、和雑貨など「和テイスト」を全面に押し出したい!とお考えの方は、ぜひ一度T3デザインにご相談くださいね◎